演出家と舞台転換~齋藤吉正~
サイトーくん。ファンからは親しみを込めて呼ばれる齋藤吉正先生。
サイトー先生はお芝居、ショーともに演出を手がけどちらも好評を得ている演出家さんだ。
今回はサイトー先生のお芝居で大劇場公演の3作品
をご紹介しよう。
2012年音月桂さん主演の雪組にて上演された『JIN-仁-』
2016年北翔海莉さん主演の星組にて上演された『桜華に舞え』
2019年珠城りょうさん主演の月組にて上演された『夢現無双』
以上の3作品。
サイトー先生は時代劇を得意とされているので、時代劇3作を比較していこう!
『JIN-仁-』
累計800万部突破した漫画原作で、ドラマ化もされた作品。南方仁と橘咲の時空を超えた純愛、坂本龍馬との友情を中心に、現代人が忘れかけている命の尊さを、時を超え二つの人生を生きた仁の生き方を通して訴えかけるヒューマンドラマとして壮大に描いた作品。
この作品では江戸の街並みや、病室、吉原など、とにかく場面がたくさんあり細かい小道具やセットが多い。
建物内などは高低差のあるセットを使用しているのも特徴。
舞台後方に柵のついた台がみえるだろうか。
このセットは階段なのだが、これが高低差のあるセットの移動のためなどに使用される事が多い。
仁友堂の入り口部分にもつかわれていたり、たまには背景などにもなったりする。
階段のほかに、4本の灯りのついた柱が各場面を少しポップに明るくしていてとても良い。
『桜華に舞え』
明治維新の立役者の一人ともなった桐野利秋。明治新政府では陸軍少将に任じられながらも、敬愛する西郷隆盛と共に下野し、“避けられぬ宿命”西南戦争へと身を投じて行く。彼が命を賭けて守り抜こうとしたものは果たして何だったのか……。
この作品の舞台転換は3号せりのセットが西郷隆盛の部屋になったり、いくつものセットに飾り替えられているのが印象的。
大久保利通の書斎
日本地図
これは本来3号せりの裏側の部分であるが装飾してあるパネルがはめ込んであるのか……はたまた幕なのか……
あまり派手な転換ではないが、飾り替えなどがあると裏ではどうなってるのだろうか?飾り替え戦争が起きているのか?間に合うのだろうか?とドキドキする。
『夢現無双』
吉川英治原作の小説を元に、宮本武蔵の生き様を描き上げた。因縁で結ばれた佐々木小次郎との宿命の対決の先にあるものとは……。
この作品の舞台転換は、盆を惜しげも無く回転させるシーンが印象的だった。
武蔵が柳生の里へ剣術指南を受けに行くシーン。
柳生石舟斎の部屋から始まり→居候しているお通の部屋→武蔵が滞在する部屋→道場へと転換する。
お通の部屋
武蔵の部屋
すべての部屋が盆にセットされており、4分の1位ずつ盆をクルクル動かして転換していく。
ものの3分程のシーンであるが、部屋の移動に時間がかからないのでとてもスムーズでストレスなく見ることができる場面だった。
照明の当たる所が四角くカットされていることにより、部屋のサイズを表しているのもとても良い。
この3作品を通して、同じようなセットや同じような演出をみつけたので比較してみることする!
【開演!吊り物対決!】
サイトー先生は開演時にレビューショーの名残りなのかタイトルなどの吊り物を出されることが多い。
どれも作品をイメージする素敵な吊り物たち。
開演前にわくわくさせること間違いなし!!!
【オープニングナンバー!せり使いすぎ対決!】
基本的にオープニングではほぼ全キャラクター出演するナンバーを演出されることが多い気がする。
特にせり使いすぎなのは『桜華に舞え』と『夢現無双』でみられたのだが、主人公たちの登場やメインキャストをせりを使ってトントントンと登場させているのが目立った。
だいたい2分~3分程度のナンバーであったが、ほぼ全部のせりが登場する。
せりの乱れ打ち!!!最高ですね!!!
【女と男の対決!!郭対決!!】
吉原が登場する『JIN』と『夢現無双』どちらも郭のセットが作られている。
『JIN』
後方には先程紹介した階段がここでも使用されている。3号せりを少しだけ上げて高さを出している。
柱の灯りを赤にするだけで、豪華で妖艶な雰囲気を漂わしていて素敵。
『夢現無双』
こちらの方が一見質素にみえる。後ろの花がインパクトあたえている。
この作品では両面リバーシブルなセットが多いので、正面2本の赤い灯りの柱は、実は裏側は松の木になっている。
このまま180度回転すると道場になっていたはず……。スムーズな転換をさせるアイデア力を感じる。
比較してみると、どれもテイストの違うセットであるけど何処か似たような、共通している部分を感じますよね。
これはやはりデザイナーさんが同じだからでしょうか??
齋藤吉正先生はご自身の作品の装置はいつも國包洋子先生が担当されています。
演出家の先生ごとに、装置デザイナーさんが固定でついていることが多いのは、自分のイメージした世界観を創るのは装置デザイナーさんの力次第だからでしょうか。
こうなってくると、サイトー先生のレビュー作品もチェックしてみないとならない気がしますね!!!
それはまたいつかの機会に。
みなさんも演出家先生ごとの共通点など探してみてはいかがでしょうか。
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愛した日々に偽りはない~オーシャンズ11~
ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットが出演した映画作品。あらすじは、ラスベガスにあるカジノホテルを舞台に、11人の男達がホテル王を出し抜き金庫破りに挑むハリウッド映画「オーシャンズ11」。
2011年の柚希礼音さん・夢咲ねねさん主演で星組において、宝塚歌劇の小池修一郎先生がこの作品を世界で初めてミュージカル化。
今回は2019年真風涼帆さん主演で宙組にて上演された、オーシャンズ11から舞台転換をみていこう。
ラスベガスのカジノが舞台であるが、セットは思ったよりシンプル。
スロットマシンやキラキラな吊物、周りはホテルの壁のようなセットで囲われている。
シンプルといえど侮ることなかれ!
この壁のセットの形態変更はすごい!
ダニーとラスティがメンバーを1人ずつ集めていく場面であるが、壁だけで場面転換をしていく。
左右の壁が手前に開くと、お部屋に。
このモロイ兄弟の場面終わりに壁が元に戻る所が映り込んでいた!!!袖から壁をひっぱってる!ひっぱっているぞー!
壁は映像投影もできる。万能。
小池先生の作品で、1幕のクライマックスを語らずしてどうする!と思われるだろう。舞台転換においても1幕の終盤は興奮もの。
ファンの中でも『イケコの1幕終わり』という言葉があって、1幕の終盤はキャスト総出演で2幕に向け、1番の盛り上がりを演出される事が多い。
2幕へつづく!To Be Continued!という感じ。
もちろんこのオーシャンズ11でもそんなイケコ節が炸裂。
『JACKPOT』というナンバーでスロットが大当たりする場面。
この場面では、たった3分30秒ほどのナンバーで私が数えただけでも6回ほど転換がみられる。
まず奥のカーテンのような吊物が上がり、電飾があらわれる。
後ろの2号せりがさがり、ディーラーたちがはける。
盆が時計回りに半回転して、スロットマシンが舞台後方に、階段が正面に回ってきた。
さらに盆がまわったと同時か、その前かに3号せりが少しあがっている。
さらにこの後スロットマシンがすこし移動する。
ダニーたちがそろって踊るところでは、1度「パラディソ」の吊物がハケる。
再度「パラディソ」の吊物がおりたら、11人がカッコよく背中を見せて幕。
かっこいい。ただただかっこいい。背中で魅せる男役の色気!すてき!とファンは幕間の休憩時間のトイレで大盛り上がりするだろう。
数秒の踊りの為に、パラディソの吊物を上げたり、下げたりすごく細かい転換をしたのをみたら、私は幕間の休憩時間のトイレで大盛り上がりするだろう。
やっぱり『イケコの1幕終わり』はファンを裏切らない!!
2幕は金庫へ潜入する場面をみてもらいたい!
ライナスが下手からブランコにのって登場。
バトンに吊されて、滑車がついているのだろう。
ライナスの移動はスタッフさんによる手動だと思われる。
あとからダニーも降りてくる。
これは別々のバトンなんだろう。セットの上に着地するとき、着地点が真横ではなく、ちょっと斜めになっている。
2号せりの上に置かれた、金庫のセットが登場。
レーザー光線のような照明が仕込まれているのか!?ムービングかな??どうみてもセットの中にあるのだけど、まさかムービングまで付けられるとは思わなかった。
このセットは天井がパカッと開く。
ガイズ&ドールズのときのマンホールと同じ仕組みだと思う。(よかったらブログがありますのでご覧ください!)
ハシゴを下に取り付ける部品までついてて、このセット本当にすごい!
さらに奥から金庫の中身のセットがスーッと登場し、中からお金がたーくさん!
無事カジノ強盗ミッション大・成・功っ!!!
潜入の場面の表現方法には興奮した。
潜入するシーンはわくわくするが、舞台転換もわくわくするものばかりで、何回も巻き戻し、コマ送りでみたほど。
一見あまり派手な装置がないので、壁やスロットマシンなどがすごく細かい転換をしているのに良く見てもらわないと見過ごすかもしれません。
頑張ってるのに気づかれないなんて、なんてスタッフさん泣かせな作品!!!と思いながら舞台転換をみてました。
ダニーからテスへの愛にも負けないくらい、私も舞台機構を愛した日々に偽りはない!と、スタッフさんにお伝えしたい。
恋の曼荼羅 五十四帖~新源氏物語~
世界最古の長編小説といわれる源氏物語。
宝塚では「あさきゆめみし」「夢浮橋」など源氏物語を題材とした作品を上演している。
今回は2015年明日海りおさん・花乃まりあさん主演で花組にて上演された「新源氏物語」をみていこうと思う。
田辺聖子さんの「新源氏物語」をもとに、宝塚の柴田侑宏先生の脚本・演出で1981年に初めて上演された作品である。
さて、まずは幕開きから。
日本物のオープニングは華やか!!!
そして幕開きには必ず「チョンパ」がつきもの。
舞台の幕が空くと一面真っ暗、そして次の瞬間にパッと明かりがつく、チョンパという言葉は歌舞伎用語からきている。
あの真っ暗な中、音もたてずスタンバイする出演者の方はすごいなと関心する。
毎度日本物のときはチョンパがあると思って観劇に挑むけれど、誘導する明かりが客席から見えないので、どうスタンバイするか本当に気になっている。
今作では銀橋の上には明日海さんしかいらっしゃらなかったが、日本物ショーの時は銀橋にずらーっと並ばれてのチョンパが多く、本当に圧巻。
(たまにオケピに落ちるなんてエピソードもききますね)
さらにオープニングでは大階段が設置されているようだ。
大階段は真っ赤に彩られている。
この後、2幕のショーではいつもの大階段なので、休憩の飾り変えがあるのだろう。大変だ。
ちなみに大階段の設置は2分20秒とお伝えしていると思うが、このオープニングの歌終わり、ものの1分程度で、このような後ろが透け、奥の人がみえるような吊り物が登場する。
奥に大階段の姿は見えないので、後ろに紗幕などがかけられているか、1分もすればだいぶ見えないところまで大階段も収納するということか?興味深いなぁ。
光源氏といえば夜這い(笑)だけれども。
(いい表現が見つからずすみません)
源氏が藤壺の女御のところへ通うシーンでは
3号せりに閨がつくられている。
この抱き合う2人の姿が見えるか見えないかのスケスケ具合。
事情が進みながら、盆が回転していく。
みているこっちまでドキドキしてしまう演出。
3号せり、いとエロし。
ちなみに、このシーンでは3号せり以外は舞台上には何もないので盆の回転がよーくみえる。
測ってみると、半回転するのに約30秒だった。
盆の操作についてはコンピューター制御によるものであり、角度・回転方向は自由に設定できるのは何となくわかっていたが、
速度の変更については何段階かで操作可能である‘’らしい‘’というところまででしか正直わかっていない状況。
今回のような、盆の回転がみえる演出の際に何度か測ってみたけれど、だいたい盆が1周まわりきるのは約1分という結果に落ち着いている気がする。
もっと早く、あるいはもっと遅く回転する作品があるなら教えて頂きたいところだ。
その他のみどころは……
帝が回想で現れてきた場面
すごく遠くの方で浮いている。
暗くてよく仕組みがよく分からなかったが、多分4号せりにのっていて、
その前に長細い幕?のようなものがかけられているいるのかと推測する。
ラストの場面は本当に華やか!
藤の花は作品を通してしばしば登場するが、藤の棚の吊り物が得に美しい。
雅!雅なり!
皆さんご存知の源氏物語を現代語版にアレンジしており、意外にもポップな曲調が多く、日本物としてはかなり見易い作品としてつくられている。
なにより光源氏役の明日海さんが素敵!
この源氏にならコロッといっちゃうのわかるな〜とおもわせる、明日海さんの光源氏をぜひご覧いただきたい。
コーヒーにドーナツは?~ガイズ&ドールズ~
本日は宝塚の上演作品では海外ミュージカル作品は沢山あるが、中でもブロードウェイミュージカルの『ガイズ&ドールズ』をご紹介。
1984年に月組の大地真央さん・黒木瞳さんのゴールデンコンビが初演し、2002年に月組の紫吹淳さん・映美くららさんで再演。
また2015年星組の北翔海莉さん・妃海風さんで再度上演された。
私が宝塚で上演するブロードウェイミュージカル作品の中で最も好きな作品。
小学生の頃、紫吹さんの主演のVHSを買ってもらって台詞を覚えるくらい大好きだった。
星組での再演と聞いた時は涙が出るほど嬉しかった。さらに紫吹さんの時に新人公演を主演した北翔さんが主演と知ったときは感慨深かったですね。
あらすじ
1948年頃のニューヨーク。ギャンブラーのスカイは、仲間のネイサンから“指名した女を一晩で口説き落とせるか”という賭けを申し込まれる。指名されたのはお堅いことで有名な救世軍の娘サラ。プレイボーイを自認するスカイは、言葉巧みにサラを口説き始めるが…。
ニューヨークが舞台ということでセットもこれぞブロードウェイという感じ!
手前のお店はセットで、ネオン看板は吊り物。
このお店のセットは度々登場する。
角度も変わったりするので手動で動かせるであろうと思われる。
救世軍の集会所のセット
このお部屋の部分は3号せりで、明かりが着いたままの転換なので、せり上がってくるのを一部始終見ることができる。
せりの横には、先ほどのお店のセットが置いてあるのだが、先にお店がスタンバイしているので、
かなりスレスレのところせり上がってきて、ピタッと止まるところは感動する。
せりが入ってきた後に、セットを横から入れる転換を良く見るので、珍しいなと思った。
ちなみに2002年版ではこの集会所はセットで作られていたようだ。
3号せりを封印してしまうなんてなんてもったいないこと!と思ってしまうのは私だけかもしれない。
ガイズ&ドールズで最も注目してほしいのはここじゃないだろうか!!!
スカイをクラップゲームをやっている下水道まで案内していくシーン。
上手側の花道にある7号せりにマンホールが設置してあり、本当に入っていく。
下水道から帰ってくる時も、みんなここを通って出てくるのが面白い。
(2002年版は袖から出てくる演出でした)
2002年版でも、このマンホールはあって、子供の頃このシーンが大好きだった。今見てもワクワクする!
せりを使っているのはわかるが、導線がどうなっているのか、舞台上で踊ったあとものの数十秒でここからでてくるけどよく間に合うなぁとか、たくさん人出てきたら、せりの定員大丈夫なのかな……とか気になることだらけだ。
その他にも、かわいいタクシーにのって登場する演出あり、これは自動で動いているようで、生徒さんが運転するのだとか!
毎回ポップコーンをたべていたりするのも面白いところ!
ポップコーンの味は日替わりなんだとか!
お菓子はたまに違うものを食べている日もあって、
11月11日の公演ではポッキーをたべていたり、
東京千秋楽ではとんがりコーンでした。
実際にジェンヌさんが食べている演出はめずらしいので、私のみならずファンの方には嬉しい演出のはず!
聖書と絡めたジョークなどがあり、多少難しくも感じるが、陽気なナンバーが楽しく、ミュージカルコメディの傑作といえる作品ではないだろうか。
ブロードウェイミュージカル作品は版権が難しくなかなか手に入らないことも多い。
もし見つけときは手に取ってもらいたい作品だ。
演出家と舞台転換~藤井大介~
レビューショーは宝塚にとって必要不可欠。
華やかさ、洗練された歌やダンスなど宝塚のすべてがショーにはある。
今回はレビューショーを手がける人気の演出家、
藤井大介先生の作品を舞台転換の目線からご紹介しよう。
レビューショーはあるテーマにそって、いろんなジャンルの歌や踊りが繰り広げられるオムニバス形式のショーだ。テーマとして繋がりはあるものの場面ごとの繋がりはないので、初めての人にはなかなかハードルの高いものかもしれない。
初めて観劇される方には、レビューは考えるな!感じろ!そう伝えたい。
藤井大介先生は年間2作品以上の大劇場公演のレビューショーを世に送り出している。
宝塚100周年記念公演の『宝塚花詩集100!』を手がけたことでも有名。
今回はお酒シリーズ3部作と呼ばれる人気の作品で比較していこう。
お酒シリーズは、カクテルをイメージして作られた『Cocktail―カクテル―』と、ワインをイメージして作られた『Santé!!』、ウィスキーをイメージして作られた『アクアヴィーテ(aquavitae)!!~生命の水~』の3部作である。
『Cocktail―カクテル―』
主題歌がキャッチーで、歌詞にいろんなお酒の名前がはいっており、初めてみたときはオシャレなお酒がたくさんあるもんだ、と思った記憶がある。
この作品ではサザンオールスターズの曲などポップスの楽曲が多く使用されており、当時は斬新だった。
幕開きは匠さんがせり上がりで登場。
オープニングはバーカウンターのおしゃれなセットが登場。
他にも大きなジュークボックスのセットや豪華なセットがたくさん!
さらに!カクテルでは大階段の登場が一部始終みれる!
大階段を出すには基本約2分20秒の時間を要するので、その時間を場繋ぎをするのが一般的である。
しかしこの作品では登場させる際、あえて全部見せる!という手法をとっている。
登場する場面は、終盤の大人数で踊る、総踊りの場面であったので徐々にせり出す大階段の後押しもあって迫力があり、とても素晴らしい演出だった。
『Santé!!』
2017年明日海りおさん主演で花組にて上演。
前作からかなりの年数を置いての上演となったが、どちらかというと『カクテル2』と言ってもいいほど、カクテルへのオマージュが散りばめられている。
幕開きの明日海さん登場シーンからカクテルを感じる。
さらにオープニングから大階段を登場させるという最近のダイスケ節が発揮された。
オープニングで明日海さんが2号せりに乗っているのだが、結構高いところで停止している。
2号せりは舞台面からそこまで上がらないためか、2号せりの上には台がセットされていた。
オープニングから2号せりが塞がれてしまったけど、この後もう使わないの???
もしかして公演中に台を降ろしたりするの???
と思っていたところ……
ちゃんと使用されていた!!!!!
中詰めのラテンのシーンで、明日海さん達がせり下がっていくのに同じものが使われていたようだ。
こんな時、ちゃんと後先考えているんだなぁ……と先程までの自分が恥ずかしくなる。
しかし、いつの間にか手前にあったはずの2号せりが、舞台奥に移動していたので、盆がいつまわっていたか確認できず無念……
『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』
2019年真風涼帆さん主演で宙組にて上演。
前作からあまり感覚を開けず、3作目上演となった。
サンテの後、続いてお酒シリーズをつくろうとひらめいたのだとか。
前作とはちょっと違い、大人の雰囲気漂うシックなショーだった。
オープニングではバーカウンターのセットが。
このセットはカクテルのオマージュ??
この形のセットが中心となっていて、色んな場面で登場する。色違いのものなども存在した。
さらに!アクアヴィーテでは大階段の登場が一部始終みることができる!(笑)
これも例のオマージュかな??
登場する場面は、同じく総踊り。
2002年当時より、大階段が進化しており、電飾に加え、LEDが付けられたため、迫力がアップ!
さらに最近のHD放送のおかげで、大階段設置がより鮮明に見ることが出来るので、資料映像のよう。
なかなか設置するところはみれないので私得の演出であったのには間違いない。
余談だが、この3作品はシャンシャンもかわいい!
カクテルグラスのシャンシャンを使用したので、サンテではカクテルに寄せてワイングラスなのだが、
ウィスキーはどうなる??と思っていたら、ボトルであった!なるほど。
今回改めて3作品を見比べる機会となったが、3種3様だが、見る度に似ているところなどを発見して楽しかった。
藤井先生はお酒シリーズ3部作の他、ご本人が『 イケイケ3部作』と呼ぶ、ラテンショーの3作品も人気。
藤井先生のラテンショーはパワフルでギラギラの吊り物がガザガサ動いて最高!!!!
それはまた次回。
見どころたくさんのお酒シリーズをぜひ。
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シャンシャンをつくろう!~ラエスメラルダ~
シャンシャン作りがはかどってはかどってしかたがない毎日だった。結果3作品が完成した。
今回も私の好きな作品から選んだ。
2018年早霧せいなさん主演の雪組公演より『ラエスメラルダ』齋藤吉正作・演出作品。
ラテンのショーらしく明るく楽しいナンバーが多く60分という時間があっという間に感じられる作品。
オープニングで海賊船を模したセットがとってもかっこいい!
実際に使用されたシャンシャンはこちら。
材料はこんな感じ。
今回も100円均一で全部揃いましたよ!!
1番メインとなるみどりのお花の作り。
こちらも前回のクリスタルタカラヅカのシャンシャンを作ったときのように、下敷きをつかって花びらを1枚1枚カット。
さらに金色のネイルでキラキラ感をアップ!
それをお花の土台につかうオアシスにさしていき形を整えていく。
紙皿の裏面を金色スプレーで塗装。紙皿のなかにオアシスを入れて固定する。
このように実物はほとんどゴールドなので、持ち手の部分や、羽根の部分など金色スプレーをつかって塗装。
持ち手の部分は庭先に置く、太陽光で充電出来るライトを使いました!!!(100円であんなものまで買えるとはおもわなかったです)
羽根の部分は、観葉植物の葉っぱと、金のレースです。
それをくっつけるとこんな感じ。
仕上げに、お花の周りに白いフワフワをつけ、金と緑のリボンを持ち手の所に付けたら完成!
裏側も我ながら忠実にできたと思っています。
今回ももちろん光る仕様にしてありますよ〜!!
2本もあると撮影が難しく詳細がわかるように撮れなかったです( ToT )
要領を得たのか、結構すぐ完成しました。
初めて塗装スプレーを使用したのですが、なかなかたのしかったです!
ちなみに家族からはこちらのシャンシャン好評みたいです。
おうち時間、充実した時間を過ごせたと思います。
また制作意欲の湧く作品にめぐりあえたらシャンシャン作りしていきたいとおもいます!
オススメのシャンシャンがあったら教えてくださいね。
人生は周り巡る輪舞曲~グランドホテル~
グランドホテル
2016年珠城りょうさん・愛希れいかさん主演で月組にて公演。
1928年のベルリンを舞台に、高級ホテルを訪れた人々が一日半のうちに繰り広げる様々な人生模様を描いたミュージカル。
元々ブロードウェイミュージカル作品で、過去にグラミー賞を受賞したこともある名作。
『グランドホテル形式』という言葉の基になっている作品で、誰が主役でもおかしくなく、どこを切り取ってもお話が出来るような作品のことを言うそう。
有名なところで、映画の『有頂天ホテル』などもこの形式が当てはまるだろうか。
宝塚では2度上演されており、1度目は涼風真世さんが、2度目は珠城りょうさんが主演で公演。
版権が厳しいのか、涼風さんの公演の資料はほとんど残っていないのが悔やまれる。
宝塚版グランドホテルで演出にあたったのは、岡田敬二先生・生田大和先生ではあるが、
ブロードウェイのオリジナル演出をされていた、トミーチューン氏の演出を宝塚版にアレンジしたものとなる。
今回この作品を選んだ理由は、“ 床機構が全くうごかないから”だ。
(床機構はせり舞台や盆のこと)
前回はたくさん舞台機構の転換がある作品を紹介したので、逆に全く動かないものにしてみた。
もちろん場面や場所が変わるが、すべて出演者とイスだけで表現するという特種な演出だ。
下に升目のような床になっているのが分かるだろうか。
出演者はこの升目に沿って、イスを動かしたり、柱を動かしたりなどして、ホテルのロビーや、客室などに転換していく。
バレエの劇場にまでなったときは驚いた。
文字にすると、なんと地味な作品と思われるかもしれないが、観ている本人は舞台機構が動かないことすらまったく気づかなかった。
最後に銀橋を珠城さんが歩いたときにやっと気づいたほどだった。
そもそも床全面にこのように何かが敷かれているのはめずらしい。全く舞台機構を使わない!としなければ出来ないことである。
演出の中に、出演者が舞台上の隅にある長椅子にずっとすわっている、というのがある。
彼らは、芝居とは関係なく、セリフを発することもない。グランドホテルにくるさまざまな人生を傍観しているように見えるし、自分の番が来るのを待っているようにも見える。
正直この演出は私にはちょっと難しすぎて十分理解ができていないので、どなたか教えて欲しい。
時代は第一次世界大戦後のベルリンが舞台で、かなり疲弊している。
いろんな人生や感情が渦巻いて混沌としていて、いわゆるデカダンスな雰囲気という感じ。
宝塚が得意とする華やかさや、きらびやかな世界とはちがう。
さらに宝塚の武器である、スピーディーでエキサイティングな舞台転換を削ぎ落としてしまった。
それでも宝塚はこれをやってのけて、宝塚のものにしてしまう。許容量、懐の広さに驚いた作品でもあった。
上演される前から今後宝塚では観れないかもしれないとまわりから言われ触発され、何度か観にいった作品だったが、観てよかったといえる作品だった。
またそんな作品に出会いたい。