HOT EYES!~33年越しの夢~
前回の記事で、大階段のマンネリと演出家の挑戦をお話した。
今回はこのブログらしく舞台転換も交えながら作品を紹介しよう。
現在売れっ子と呼ばれる演出家たちも『オペラ・トロピカル』には多大なる影響を受けているようだ。
藤井大介先生。
以前このブログでお酒シリーズのショーを紹介したと思う。
ダイスケ先生は小さい頃から宝塚が大好きな少年だったようで、子供時代にみた『オペラ・トロピカル』には感銘を受けたのだとか。
この作品の売りはなんといっても『大階段出しっぱなし』というところだと思う。
その作品の影響も受け、“平成版・大階段出しっぱなしショー”を上演した。
それが『HOT EYES!!』である。
2016年宙組にて上演され、宝塚101周年の幕開きの作品。朝夏まなとさんのトップスターお披露目公演であった。
朝夏まなとさんの大きく真っ直ぐな“瞳”。その瞳に宿る、輝きや情熱から受ける様々なイメージをテーマに、エレガンスとダイナミックさを合わせ持つ。華やかで情熱的なショー作品。
※舞台転換をお伝えするのが私の得意分野ですが、基本的に大階段がでているので大きな舞台転換はありません(笑)
しかし“平成版”、“100周年を迎えた宝塚”の大階段出しっぱなしショーはここが違う!
大階段の存在感がパワーアップ!!!
この作品から大階段に丸型の電球以外に、大階段の側面にパネルが付き、そこにLEDが搭載された。LEDが用いられるようになり、表現方法が豊かになった。
オープニングではその変化がみられる。
幕開きには従来の電飾のみ使用されている。
トップスターの朝夏まなとさんが登場すると共にLEDが輝く。
登場した瞬間の、赤色のLEDが点灯したときはものすごいインパクトである。
このシーンではもはや何が何だか。
こんなお色もだせますよ!という
カラーバリエーションのご紹介という感じ。
ちなみに大階段を隠している場面もある。
今回は吊り物でしか場面転換ができないため、さまざまな吊り物が用意されていた。
大階段が出しっぱなしのショーで唯一使える床機構がセリ舞台。
大階段の前にある小さな階段は2号せりを使用しているようだ。
このカメラアングルでは、セリの上に高さを出すための台が付け加えられていることがわかるのが、大変嬉しい発見だった。(笑)
瞳をイメージしたショーだったので、大階段はお客様の目にも焼き付くほどのインパクトをもたらしたと思います。
しかし、大階段の進化を喜ぶは私くらいのものであったかもしれません。
実際のオペラ・トロピカルをご覧になった方からしたら賛否あったそうですし、やはりこの演出は生徒さんに負担がかかるのは否めません。
さらに大階段の存在感がありすぎて、唯一の売りである遠近感を感じられない、シンプルにジャマと言う意見もよく分かります。
それはLEDだけのせいではなく、大階段の装飾にも問題があったように思います。
瞳をイメージした装飾が大階段に施されてあるが故に、演出を効果的にみせる舞台機構ではなく、巨大な電飾の背景という感じになってしまったのは悲しいところです。
LEDを搭載した大階段お披露目公演ということで目をつむってほしいと思う、舞台機構贔屓の私からのお願いです。(笑)
初搭載されてから4年目を迎えます。
より効果的に、さらに美しくこの機能を使いこなしてくれると嬉しいです。
いつかこの進化が大いなるマンネリとなりますように。
大階段と演出家の挑戦~大いなるマンネリ~
宝塚の象徴とも言える大階段。
初めて登場したのは1927年の『モン・パリ』
この作品は日本で初めて公演されたレビューショーでもある。
宝塚レビューショーの歴史は、大階段の歴史でもある!(飛躍しすぎか笑)
大階段は毎公演必ず最後のパレードで使用されることが決まりとなっている。
一時期大階段が出なかったこともあるそうだが、
『なぜフィナーレに大階段を出さない?大いなるマンネリでいいじゃないか!』という小林公平さんの一言によって毎公演ラストには大階段が登場するのが決まりとなった。と、装置家の大橋泰弘先生が仰っていた。
しかし常に演出家達はこの大いなるマンネリに挑み続けている。
その中でも演出家の草野旦先生は斬新な演出を取り入れてきた。
特に大階段の演出で印象深い2作品をご紹介する。
『オペラ・トロピカル』
1983年花組の順みつきさん主演で上演されたレビューショー。
こちらは宝塚史に名高い、全編“大階段出しっぱなしショー”である。
大階段の横には影段がいくつも用意され、どの段からでも、どこからでも出ハケできるように工夫されていた。
常に大階段があり、動きに制限がかかってしまうのにも関わらず飽きのこないように演出され、草野先生らしい熱いエキゾチックなショーは、観た人がみんな口を揃えて面白かったと言う名作。
現在活躍中の演出家の先生たちにも、この作品に感銘を受けたなどというエピソードが聞かれ、いまもなお伝説の作品である。
『ON THE 5th』
2002年雪組の絵麻緒ゆうさん主演で上演されたグランドショー。
ニューヨークの5番街をイメージしたハイセンスでゴージャス、そしてスピーディなショー作品。
公演の上演発表が911の事件の翌日だったそうで、
作品の中でも急遽追加になったであろう、追悼のシーンが描かれてはいたものの、見る人の気持ちが重くなりすぎないような絶妙なバランスで描かれていて配慮を感じる。
この作品ではパレードは通常通り行われ、大階段もちゃんとでてくる。
が!そこで終わりではない。
フィナーレが終わると大階段がハケてしまう。
絵麻緒ゆうさんが紙吹雪舞うなかタップを披露する姿は印象的。
さらに雪組生たちも揃いタップを披露し、幕となる。
最後に大階段はでてこない!
というこれもまた斬新な演出で話題となった。
この頃より吊り上げ方式で収納されていた大階段はさらに進化し、収納時間が短縮され、現在と同じく2分20秒になったと思われる。
この進化により、可能になった演出だったと後に草野先生は語られている。
“宝塚らしくない”などといわれてきた草野旦先生。
初期ごろには大階段を全く登場させないこともあったそうで、すごく怒られたと語っています。
もしかしてその反動で『全編大階段出しちゃえ!』なんていう発想に!?
たくさんの演出家さんたちの挑戦のおかげで、フィナーレの大階段の滞在時間のバランスは長くもなく、短くもないあの定番のフィナーレとなったのでしょう。
それが型になって、様式になり、マンネリから伝統になったわけです!素晴らしいことですね。
それこそ私達が宝塚を観た!と満足できる黄金比率なのですね。
フィナーレがもっとみたくなってきましたね!
もう少しお話したい所ですが、長くなってしまったので、次回『オペラ・トロピカル』に影響を受けた先生の作品のお話をさせていただきますね。
『33年越しの大階段出しっぱなしショー』とはなんでしょうか。
また次週お楽しみに!
忠臣蔵とみる旧宝塚大劇場の最後の姿~もはやこれで、思い残すことはござらん!~
旧宝塚大劇場。
1992年まで68年間に渡り宝塚歌劇団の公演を行ってきたが、老朽化のため建て直しが行われた。
現在の宝塚大劇場は1993年に新しく建てられたものである。とはいえもう20年以上もたっている劇場なのだ!
この作品は雪組の杜けあきさん主演で上演され、杜けあきさんの退団公演としても注目された作品だった。
先日、この作品が放送があり、
久しぶりに観ることが出来る!と思って見ていたら、映像がリマスターされていてHD放送すごい!と感動した。
下級生にいたるまでお顔がハッキリ見える所も素晴らしいが、旧宝塚大劇場の舞台も綺麗に映っていたので、今回ブログを書くことに決めた。
今回は『忠臣蔵』を通して、旧宝塚大劇場の舞台機構の最後の姿をご覧頂きながら、現在の舞台機構との違いも見て頂きたいとおもう。
オープニングの赤穂浪士がズラリと銀橋に並んだ演出は今でも宝塚史に残る名シーンである。
ここからのアングルだと、現在の宝塚大劇場との違いは特になさそうである。
強いて言うなら、フロントライトの場所くらいだろうか。
しかしありがたいことに、このシーンでは大階段の設置を一部始終見せてくれる演出がされていた!
旧宝塚大劇場の大階段の設置までの所要時間は『3分10秒』であったと聞いた事があったのだが、たしかに今よりも速度が遅いことと、吊り上げ方式での収納だったため、その分時間がかかっていたのだなと理解した。
マイクに関しては、まだピンマイクというのがなくハンドマイク型のものを衣装に引っ掛けて使用していることがわかる場面もあった。
マイクをつけるための衣装さんの細かいお仕事もわかる。
エレベーターマイクもちゃんとあるが、黒色のマイクを使用しているようだ。
見えにくいかもしれないが、フットマイクもあってこれは今のPCCのタイプではなく大きなものだったんだなぁという事が分かった。
床機構がよく見える場面も。
今の劇場の床機構は舞台面の設置面がここまで分かりやすくなっていないので、セリの位置が良く見えるのがありがたいが、景観に欠けるな。
手前の左側に小さな枠があるのが見えるだろうか。
これが今は使われていない5号セリだ。
この作品でも使用されてはいなかったけれど、ちゃんと存在する事が分かる場面だった。
大階段。
現在と同じく26段であるが、幅は今よりも2cm狭く21cmであった。
詳しい所まで分からないが、私が見ていて思ったのは、大階段の斜面が今よりも緩やかであるように感じる事。
大階段の上部に大きな吊り物がかかっているが、1番上の生徒さんまで見えるという事は、やはり少し小さいのだろうか。
この大きな劇場を余すことなく使用する事を、当時の演出家の先生に課していた課題であったようです。
そして、大劇場を生かすための工夫として取り入れられたのが、大階段であり、床機構のセリや盆たちでした。
旧宝塚大劇場が、4000人も収容できる大きな劇場であったからこそ、この素敵な舞台機構たちに出会えたのだなと思うと感謝の気持ちが絶えませんね。
実は東京宝塚劇場は2021年に改装工事に入ることが噂されています。
新型ウィルスの影響でどうなるかわからないですが、改装によって大劇場の歴史が変わるのかな?なんて思ったりしています。
不安な日々が続きますが、
宝塚大劇場とともに繋がってきた宝塚の歴史や想いがこれからも繋がって行きますように。
天国も禁煙ですっ!~BADDY-悪党は月からやってくる-~
2018年月組にて上演された『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る- 』
ショー作品ではめずらしく、ストーリーのあるものとなっている。
あらすじは、
舞台は地球首都・TAKARAZUKA-CITY。世界統一され、戦争も犯罪も全ての悪が鎮圧されたピースフルプラネット“地球”に、月から放浪の大悪党バッディが乗り込んでくる。バッディは超クールでエレガントなヘビースモーカー。しかし地球は全大陸禁煙。束縛を嫌うバッディは手下たちを率い、つまらない世の中を面白くするためにあらゆる悪事を働くことにする。彼の最終目標はタカラヅカ・ビッグシアターバンクに眠る惑星予算を盗み出すこと。しかし、万能の女捜査官グッディの追撃が、ついに彼を追いつめる!
珠城りょうさんがバッディを、愛希れいかさんがグッディを演じられた。
そして、上田久美子先生のショー作品デビュー作となった作品でもあり、さまざまな挑戦がなされている。
作品としても、かなり“異例”な演出が多かった演目であったが、舞台転換もとても面白いのでぜひ観ていただきたい1作。
まずはオープニングのピースフルプラネット・地球
タカラジェンヌが禁煙を訴える作品もなかなか珍しいが、禁煙マークの吊り物も遥かに珍しい(笑)
奥には、地球の絵柄が書かれた引枠があり4枚に別れることができる。
引枠を少しあけて、出入りしたりする演出もみられた。
この作品で用意されているセットには電飾が取り付けられており、近未来感、SF感が演出されているように思う。
引枠がハケると、地球の玄関口?空港?の場面に。
ここで注目していただきたいのは、やはり3号セリだろう!!!
画像では少し見にくいかもしれないが、奥の台のようなのが、3号セリ。
この作品では3号セリの中側を使うことはなかったが、3号セリの上に飛び出た橋のようなものがあるのが分かるだろうか。
この橋のような、飛び込み台のようなものを使い、前にある2号セリまで徒歩で移動することができる!!
人が1人渡れるくらいの強度があることが分かる。
若干スロープ気味になっているところもこだわりか。
これも珍しい装置だとおもう。
この場面が終わると、あとは使われないこのセット……もったいない……。
中詰めのグルグル、グチャグチャのシーン(笑)
後ろの〇✕の背景は吊り物で、〇と✕が裏表に書いてあり、クルクル回転させることができる。生徒さんがクルクル動かしているようだ。
真ん中には階段の装置が寝転んでいて、それが持ち上がるとバッディとグッディが登場する。
ロミジュリの最後のシーンの演出と同じような仕組みだろうか。
(しっかりしたシートベルトをつけているのでよーく見てもらいたい!)
ビッグシアターバンクの場面。
金庫のセットが2号セリによって、せり上がりで登場。
後ろにはデットオアアライブと書かれた肖像があって、3人の映像が映っている。
この場面では、踊りながら盆も動く。
1回目の盆のスピードと、2回目に動くときのスピードが少し違う気がするので、ぜひ確認していただきたいところ。
銀行強盗が成功すると、3号セリがあがり、一味が逃亡するような演出となる。
クールさんと王女の別れがつらいシーンでもある。
ちょっとハスに構えた3号セリと効果音により、ヘリコプターで移動しているのだろうなと思わせる演出になった。
舞台転換の見どころたっぷりの作品だが、
さらに、こんな場面も……
宇宙服から早着替えするところは、袖からヒモを引っ張っているのが面白い。
男役群舞。
女王様の書かれた紙幣がふんだんにあしらわれた吊り物!自分のお顔が幕になるってどんな気持ちなんだろうか…
男役群舞の終盤。爆発するところ。
横からスモークがでているが、これは勢いよく噴射されているように見えるので、よく見るモクモクたかれるスモークとは違うタイプのスモークであることがわかる。
何を使っているのだろうか。ジェットスモークマシンの類かな。
バッディでは本当に“異例”なものが多く、タバコの形をしたシャンシャンや怒りのロケットなど“ 宝塚らしくない”ものも多かったですが、キャラクターの作り込みがさすが『芝居の月組』だけあって、下級生に至るまで個性的なんですよね!
バッディとグッディだけじゃなくて、いろんなキャラクターの感情や背景が見えてきて、何度見ても新しい発見のある作品でした。
上田久美子先生はこれでコケたら次はない!!と仰っていましたが、私はぜひ次回作にも期待したいと思える、そんな作品でした。
宝塚舞台機構への招待 Part2
前回の宝塚舞台機構への招待では舞台機構の中でも床機構とよばれる舞台の床に設置してあるものを多く紹介した。
今回は『照明と音響』の機材を紹介しようと思う。
照明
『スポットライト』
大劇場では6台のスポットライトを使用している。
さらきスポットライト用の部屋が2室ある。
センタースポットライト室と、トップスポットライト室だ。
機材はどちらの部屋も同じスポットライトを使用しているが、宝塚のスポットライトは特注品。
1人のスタッフが、2台の照明を同時に操れるように改良してある。
トップスポットライトの方が劇場の上部にいるため、上から光を当てるためのスポットライトを担当する。
このスポットライト室は、宝塚と東京では少し位置が違う。
『調光卓と電飾』
1階席後方にある調光室。
実は東京宝塚劇場は日本では初めて客席側に調光室を備えた劇場でもある。
1000以上のプログラミングのできる、マリオネットスター型調光操作卓というものが導入されているのだとか。
その他、色んな柄やカラーの灯りがつくムービングライトの操作を行うものや、大階段や電飾を操作するための操作卓がある。
大階段の電飾はひとつずつ単独で操作ができ、文字やイラストを描き出すこともできる。
銀橋のフットライトも4色の点灯ができる。
音響
『マイク』
宝塚では大きく分けて4種類のマイクが使われている。
「ワイヤレスマイク」これは皆さんが思い描いている通り、出演者の声を拾うためのマイク。
「オーケストラマイク」オーケストラピットで楽器の音を拾うためのマイク。
「フットマイク」出演者の声を拾うマイクで、舞台の前側にの足下に設置してあるマイク。PCCと呼ばれるものだそうで、かなり広範囲の音を拾うことができるそう。出演者がマイクから顔を背けたときなどに一役買っているのだとか。
「エレベーターマイク」漫才などでよく見るような型のマイクで、床に収納されている。主に退団者の挨拶のときにみることができるマイク。
以上のマイクを使い分けている。
しかし、ワイヤレスマイクに関しては使用出来る回線が決まっており(約25回線)、主要のキャスト以外は公演中に使い回される事がほとんどである。
ちなみにオーケストラマイクは約60回線もあるのだとか。全部の回線を合わせると130回線ほどある。
『スピーカー』
劇場内には約100台ほどのスピーカーがある。
舞台の上部(プロセミアムアーチ)にある、2階席からみるとよく見える大きなスピーカー室には約20台ほどのスピーカーが置いてある。そのスピーカーは主に出演者の声や、アナウンスのみに特化したものなのだとか。プロセミアムスピーカーと呼ばれる。
舞台横の花道付近に埋め込まれているスピーカーが主にオーケストラなどの音を出すためのスピーカーだそう。
スピーカーについても宝塚と東京では配置が違う。
『音響卓』
先程ご紹介したマイクや、スピーカーの調整などをする音響卓。
宝塚ではだいたいオペレーターは2人体制で行われる。(東京では3人)
1人がオーケストラのミックスと効果音の叩き、もう1人が役者のワイヤレスマイクやコーラスのマイクなどをミックスを行う。
天気や季節、お客さんの数によって細かく微調整されているのだとか。
宝塚の劇場内には効果音を作る『アンプ室』という部屋も備わっており、公演にあったものを新しく作ったりする事もある。
『コーラス室』
宝塚ではもちろんバックコーラスも生歌である。
コーラスを歌う生徒さんの為の部屋が用意されている。
宝塚大劇場では舞台袖に、東京宝塚劇場では地下に設置されている。
学校の放送室のようなつくりの防音の部屋で、スタンドマイクが何台か設置してある。
奥からソプラノ・メゾ・アルトで並ぶのだそう。
東京公演では地下までの移動が間に合わないこともしばしばおきるそうで、その場合は舞台袖などに臨時のマイクが設置されるのだとか。
今回は『照明・音響』に特化して舞台機構をご紹介しました。
マイクや電飾1つにおいても宝塚で使用することに特化した機材がたくさんあって、専用劇場の素晴らしさを感じることができる。
今週からまた営業再演となる宝塚。
また舞台機構や機材を見ることができる環境に感謝しながら観劇したいものです。
まだあげそめし前髪の~はいからさんが通る~
今週末ついに宝塚が営業再開します!
皆さんも首を長くして待っていたことだろうと思います。
宝塚大劇場ではこれから2ヶ月間、花組公演『はいからさんが通る』を上演予定。柚香光さん・華優希さんのお披露目公演でもある。
この作品は、2017年同組で梅田芸術劇場シアタードラマシティ・青年館にて別箱公演となった演目。
今回は2017年に上演した『はいからさんが通る』より舞台転換をご紹介。
普段、大劇場の舞台転換しかご紹介していないので馴染みが無いかもしれませんがお付き合いお願いいたします。
『はいからさんが通る』は1975年から77年に「週刊少女フレンド」で連載された大和和紀原作の少女漫画で、大正浪漫華やかなりし東京を舞台に、眉目秀麗で笑い上戸な陸軍少尉・伊集院忍と、はいからさんと呼ばれる快活な女学生・花村紅緒が繰り広げる波乱万丈の恋物語。個性豊かな登場人物を絡めて描きあげたロマンティックコメディの傑作です。
冒頭のこの漫画絵の映像はやっぱりはずせない!
スライドするパネルで映像を投影しないときには屋敷の背景となったりする事もある。
本公演では漫画絵と本人映像とを合わせたオープニング映像をぜひ作っていただきたい!!
主な装置といえばこれのみである。
シンプルながら1番上から下まで高低差があり、立体感あるので使いやすそうなセットだなと思った。
本公演では高いところの表現する際は、ぜひ3号セリを使ってもらいたい!
この公演での基本的な舞台転換は、床に敷かれたレールによって土台が動き、土台の上にシーン事に必要なセットを配置、その土台を出ハケさせる、といったバウホール公演でおなじみの転換方法であった。
装置上に道具をセットする際は紗幕を使用している印象。
土台の上のセットを入れ替えることにより場面を転換させていくので、狭い劇場を上手く使ったとても良い舞台転換だなと思う。
ぜひ大劇場では床機構をしっかりつかって転換して頂けると舞台機構ファンは喜ぶ(笑)
どこのシーンにおいても映像がとても綺麗な印象であったので、これは残して置いて欲しい演出だ。
やはり映像といえば『All For One』にて初登場した、4枚の映像を投影するパネルを使用するのではないかと予想している。(小池先生がおねだりして買ったもの)
裏表どちらから投影しても映像が映る万能品なので、この作品でもきっと役に立つはず!
その他には、このナンバーは絶対に銀橋を使うだろうなとか、このシーンはダンサーがたくさんでてきているから大劇場では盆を使うと素敵になりそうだな、などと考えながら見るのはとても面白い体験でした。
自分がイメージしたような舞台転換や、舞台機構の使用方法がになっているかどうか答え合わせしたいものですね。
本日ブログを更新させていただきましたのも、皆様には舞台転換の目線からもどのように違った作品になったか感じていただけるようにと思い、書かせていただきました。
宝塚大劇場とは違い、舞台機構の少ない会場での公演となっているため最低限の舞台転換しか行われませんでしたが、非常にストレスの少ない舞台転換であったように思います。
宝塚大劇場での公演となり、脚本や演出に変更される部分はあると思います。
フィナーレも追加され、さらにブラッシュアップされるであろう、新しい『はいからさんが通る』がとても楽しみですね。
皆様もどうぞ楽しい観劇ライフをお過ごしください!
観劇された感想お待ちしております!
でも声はいいだろう?~ファントム~
オペラ座の怪人をご存知でしょうか。
同名の小説をもとに、脚本アーサー・コピット、音楽モーリー・イェストンによって1991年に初演。
その後世界各地で上演されてきたミュージカル『ファントム』
宝塚歌劇では2004年に宙組により初演、怪人の心の葛藤を鮮明に浮かび上がらせ、悲劇の結末をよりドラマティックに描き出した宝塚歌劇ならではのロマンティックな舞台が高い評価を得て、その後の再演も好評を博し常に上演希望が寄せられる人気ミュージカルに。
宝塚版は2004年和央ようかさん・花總まりさん主演の宙組にて初演。
2018年に望海風斗さん・真彩希帆さん主演の雪組にて4回目の上演となった。
本日はこの『ファントム』の世界を舞台転換と共にみていこう。
舞台美術は過去3回公演の装置デザイナーの関谷敏昭さんではなく、今回は稲生英介さんが務めた。
それに伴ってか、装置のデザインや衣装デザインの少し変更がなされており、さらに映像を駆使したものとなった。
オーバーチュアからさっそく映像を使い、パリとオペラ座の地下の部分が描かれる。
さらに楽曲がかなりロックテイストに編曲してあって、映像とマッチングしとてもかっこいい仕上がり。
装置は立体感が生かされたものになっていて、オペラ座の豪華で美しいセットにうっとり。
しかし引枠はリバーシブルで、裏側にするとオペラ座の地下のおどろおどろしい雰囲気を漂わす苔の這う建造物のセットになっている。
この装置からも、『美しい仮面に隠れた醜い姿』をするファントムの姿が投影されているようでとても良い。
さらに稲生英介先生は歌詞やセリフに『天使』というワードが多いことから、天使のモチーフをふんだんに使ったデザインにしたと仰っている。
このクリスティーヌの楽屋は、今回から3号せりに変更され、このあとに続く場面転換がよりスムーズに行われた印象だった。
右側の隠しスイッチ押すとひらく扉……
どうやってるのか気になるところです。
きっかけ出しをしてスタッフさんが開けているのかなぁと思うけど……まさかほんとにそこ押したら開くなんて機能が……?
エリックがクリスティーヌを地下へつれていってしまうシーン
ロウソクの明かりと、スモークの効果で幻想的。
このお船も今回デザイン変更されたもの。
船のなかにはバッテリーのようなものがつまれ、動くように設計されているらしい。
クネクネと自動で動くのが毎回操縦大変そうだなとおもってみている。
全編通して私が好きな場面は『Home』のナンバーが歌われるこのシーンしかないだろう!!
(いつもブログを読んでくださっている方は薄々感じてくだっさってたのではないでしょうか笑)
クリスティーヌの歌声を薄暗い地下で耳にするエリック。2人が初めて出会うシーンへとつづく。
地下の部分に使うのはもちろん3号せり。
エリックが地下から表れるためだけに使用される。
過去の公演も演出は同じはずだけれど、映像効果が追加されているように感じた。
高低差をつけて地下と地上を表現した場面だったが、3号せりがあったからできた演出だなとおもったら嬉しくなった。
このナンバーになる前の場面が結構長い尺なのだが、舞台上に置かれたセットや小道具が3号せりがあがるように、安全に配置されていたと思うと、まさにエモーショナル!!!エモい!!!
導線や、段取りを感じたときに萌を発症してしまう癖がどうやらあるみたいだ(笑)
過去3回の公演より、演出の変更や映像が追加されたことによりブラッシュアップされ、またひと味違った『ファントム』になったのかなとおもいます。
この作品を一言で表すと、エリックは『音楽』、クリスティーヌは『夢が叶う場所』、キャリエールは『愛』だと演じられた三人が仰っていました。
御三方のお歌、演技からその想いが伝わってくるようでした。
音楽は素晴らしい、音楽を愛する者は美しい 。そう感じる作品ですね。