恋の五色菫

宝塚の新しい観劇のしかたをご提案中!

でも声はいいだろう?~ファントム~

オペラ座の怪人をご存知でしょうか。

同名の小説をもとに、脚本アーサー・コピット、音楽モーリー・イェストンによって1991年に初演。

その後世界各地で上演されてきたミュージカル『ファントム』

宝塚歌劇では2004年に宙組により初演、怪人の心の葛藤を鮮明に浮かび上がらせ、悲劇の結末をよりドラマティックに描き出した宝塚歌劇ならではのロマンティックな舞台が高い評価を得て、その後の再演も好評を博し常に上演希望が寄せられる人気ミュージカルに。

 

宝塚版は2004年和央ようかさん・花總まりさん主演の宙組にて初演。

2006年に春野寿美礼さん主演の花組で再演され、

2011年に蘭寿とむさん主演の花組で再再演となる。


2018年に望海風斗さん・真彩希帆さん主演の雪組にて4回目の上演となった。

本日はこの『ファントム』の世界を舞台転換と共にみていこう。



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舞台美術は過去3回公演の装置デザイナーの関谷敏昭さんではなく、今回は稲生英介さんが務めた。

それに伴ってか、装置のデザインや衣装デザインの少し変更がなされており、さらに映像を駆使したものとなった。

 

オーバーチュアからさっそく映像を使い、パリとオペラ座の地下の部分が描かれる。

さらに楽曲がかなりロックテイストに編曲してあって、映像とマッチングしとてもかっこいい仕上がり。


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装置は立体感が生かされたものになっていて、オペラ座の豪華で美しいセットにうっとり。

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しかし引枠はリバーシブルで、裏側にするとオペラ座の地下のおどろおどろしい雰囲気を漂わす苔の這う建造物のセットになっている。 


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この装置からも、『美しい仮面に隠れた醜い姿』をするファントムの姿が投影されているようでとても良い。

 

さらに稲生英介先生は歌詞やセリフに『天使』というワードが多いことから、天使のモチーフをふんだんに使ったデザインにしたと仰っている。

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このクリスティーヌの楽屋は、今回から3号せりに変更され、このあとに続く場面転換がよりスムーズに行われた印象だった。

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右側の隠しスイッチ押すとひらく扉……

どうやってるのか気になるところです。

きっかけ出しをしてスタッフさんが開けているのかなぁと思うけど……まさかほんとにそこ押したら開くなんて機能が……?

 

 

エリックがクリスティーヌを地下へつれていってしまうシーン


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ロウソクの明かりと、スモークの効果で幻想的。

このお船も今回デザイン変更されたもの。

船のなかにはバッテリーのようなものがつまれ、動くように設計されているらしい。

クネクネと自動で動くのが毎回操縦大変そうだなとおもってみている。

 

 

全編通して私が好きな場面は『Home』のナンバーが歌われるこのシーンしかないだろう!!

(いつもブログを読んでくださっている方は薄々感じてくだっさってたのではないでしょうか笑)

 

クリスティーヌの歌声を薄暗い地下で耳にするエリック。2人が初めて出会うシーンへとつづく。


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地下の部分に使うのはもちろん3号せり。

エリックが地下から表れるためだけに使用される。

過去の公演も演出は同じはずだけれど、映像効果が追加されているように感じた。

高低差をつけて地下と地上を表現した場面だったが、3号せりがあったからできた演出だなとおもったら嬉しくなった。

このナンバーになる前の場面が結構長い尺なのだが、舞台上に置かれたセットや小道具が3号せりがあがるように、安全に配置されていたと思うと、まさにエモーショナル!!!エモい!!!

導線や、段取りを感じたときに萌を発症してしまう癖がどうやらあるみたいだ(笑)

 

 

 

過去3回の公演より、演出の変更や映像が追加されたことによりブラッシュアップされ、またひと味違った『ファントム』になったのかなとおもいます。

 

この作品を一言で表すと、エリックは『音楽』、クリスティーヌは『夢が叶う場所』、キャリエールは『愛』だと演じられた三人が仰っていました。

御三方のお歌、演技からその想いが伝わってくるようでした。

 

音楽は素晴らしい、音楽を愛する者は美しい 。そう感じる作品ですね。