宝塚舞台機構への招待 Part2
前回の宝塚舞台機構への招待では舞台機構の中でも床機構とよばれる舞台の床に設置してあるものを多く紹介した。
今回は『照明と音響』の機材を紹介しようと思う。
照明
『スポットライト』
大劇場では6台のスポットライトを使用している。
さらきスポットライト用の部屋が2室ある。
センタースポットライト室と、トップスポットライト室だ。
機材はどちらの部屋も同じスポットライトを使用しているが、宝塚のスポットライトは特注品。
1人のスタッフが、2台の照明を同時に操れるように改良してある。
トップスポットライトの方が劇場の上部にいるため、上から光を当てるためのスポットライトを担当する。
このスポットライト室は、宝塚と東京では少し位置が違う。
『調光卓と電飾』
1階席後方にある調光室。
実は東京宝塚劇場は日本では初めて客席側に調光室を備えた劇場でもある。
1000以上のプログラミングのできる、マリオネットスター型調光操作卓というものが導入されているのだとか。
その他、色んな柄やカラーの灯りがつくムービングライトの操作を行うものや、大階段や電飾を操作するための操作卓がある。
大階段の電飾はひとつずつ単独で操作ができ、文字やイラストを描き出すこともできる。
銀橋のフットライトも4色の点灯ができる。
音響
『マイク』
宝塚では大きく分けて4種類のマイクが使われている。
「ワイヤレスマイク」これは皆さんが思い描いている通り、出演者の声を拾うためのマイク。
「オーケストラマイク」オーケストラピットで楽器の音を拾うためのマイク。
「フットマイク」出演者の声を拾うマイクで、舞台の前側にの足下に設置してあるマイク。PCCと呼ばれるものだそうで、かなり広範囲の音を拾うことができるそう。出演者がマイクから顔を背けたときなどに一役買っているのだとか。
「エレベーターマイク」漫才などでよく見るような型のマイクで、床に収納されている。主に退団者の挨拶のときにみることができるマイク。
以上のマイクを使い分けている。
しかし、ワイヤレスマイクに関しては使用出来る回線が決まっており(約25回線)、主要のキャスト以外は公演中に使い回される事がほとんどである。
ちなみにオーケストラマイクは約60回線もあるのだとか。全部の回線を合わせると130回線ほどある。
『スピーカー』
劇場内には約100台ほどのスピーカーがある。
舞台の上部(プロセミアムアーチ)にある、2階席からみるとよく見える大きなスピーカー室には約20台ほどのスピーカーが置いてある。そのスピーカーは主に出演者の声や、アナウンスのみに特化したものなのだとか。プロセミアムスピーカーと呼ばれる。
舞台横の花道付近に埋め込まれているスピーカーが主にオーケストラなどの音を出すためのスピーカーだそう。
スピーカーについても宝塚と東京では配置が違う。
『音響卓』
先程ご紹介したマイクや、スピーカーの調整などをする音響卓。
宝塚ではだいたいオペレーターは2人体制で行われる。(東京では3人)
1人がオーケストラのミックスと効果音の叩き、もう1人が役者のワイヤレスマイクやコーラスのマイクなどをミックスを行う。
天気や季節、お客さんの数によって細かく微調整されているのだとか。
宝塚の劇場内には効果音を作る『アンプ室』という部屋も備わっており、公演にあったものを新しく作ったりする事もある。
『コーラス室』
宝塚ではもちろんバックコーラスも生歌である。
コーラスを歌う生徒さんの為の部屋が用意されている。
宝塚大劇場では舞台袖に、東京宝塚劇場では地下に設置されている。
学校の放送室のようなつくりの防音の部屋で、スタンドマイクが何台か設置してある。
奥からソプラノ・メゾ・アルトで並ぶのだそう。
東京公演では地下までの移動が間に合わないこともしばしばおきるそうで、その場合は舞台袖などに臨時のマイクが設置されるのだとか。
今回は『照明・音響』に特化して舞台機構をご紹介しました。
マイクや電飾1つにおいても宝塚で使用することに特化した機材がたくさんあって、専用劇場の素晴らしさを感じることができる。
今週からまた営業再演となる宝塚。
また舞台機構や機材を見ることができる環境に感謝しながら観劇したいものです。