天国も禁煙ですっ!~BADDY-悪党は月からやってくる-~
2018年月組にて上演された『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る- 』
ショー作品ではめずらしく、ストーリーのあるものとなっている。
あらすじは、
舞台は地球首都・TAKARAZUKA-CITY。世界統一され、戦争も犯罪も全ての悪が鎮圧されたピースフルプラネット“地球”に、月から放浪の大悪党バッディが乗り込んでくる。バッディは超クールでエレガントなヘビースモーカー。しかし地球は全大陸禁煙。束縛を嫌うバッディは手下たちを率い、つまらない世の中を面白くするためにあらゆる悪事を働くことにする。彼の最終目標はタカラヅカ・ビッグシアターバンクに眠る惑星予算を盗み出すこと。しかし、万能の女捜査官グッディの追撃が、ついに彼を追いつめる!
珠城りょうさんがバッディを、愛希れいかさんがグッディを演じられた。
そして、上田久美子先生のショー作品デビュー作となった作品でもあり、さまざまな挑戦がなされている。
作品としても、かなり“異例”な演出が多かった演目であったが、舞台転換もとても面白いのでぜひ観ていただきたい1作。
まずはオープニングのピースフルプラネット・地球
タカラジェンヌが禁煙を訴える作品もなかなか珍しいが、禁煙マークの吊り物も遥かに珍しい(笑)
奥には、地球の絵柄が書かれた引枠があり4枚に別れることができる。
引枠を少しあけて、出入りしたりする演出もみられた。
この作品で用意されているセットには電飾が取り付けられており、近未来感、SF感が演出されているように思う。
引枠がハケると、地球の玄関口?空港?の場面に。
ここで注目していただきたいのは、やはり3号セリだろう!!!
画像では少し見にくいかもしれないが、奥の台のようなのが、3号セリ。
この作品では3号セリの中側を使うことはなかったが、3号セリの上に飛び出た橋のようなものがあるのが分かるだろうか。
この橋のような、飛び込み台のようなものを使い、前にある2号セリまで徒歩で移動することができる!!
人が1人渡れるくらいの強度があることが分かる。
若干スロープ気味になっているところもこだわりか。
これも珍しい装置だとおもう。
この場面が終わると、あとは使われないこのセット……もったいない……。
中詰めのグルグル、グチャグチャのシーン(笑)
後ろの〇✕の背景は吊り物で、〇と✕が裏表に書いてあり、クルクル回転させることができる。生徒さんがクルクル動かしているようだ。
真ん中には階段の装置が寝転んでいて、それが持ち上がるとバッディとグッディが登場する。
ロミジュリの最後のシーンの演出と同じような仕組みだろうか。
(しっかりしたシートベルトをつけているのでよーく見てもらいたい!)
ビッグシアターバンクの場面。
金庫のセットが2号セリによって、せり上がりで登場。
後ろにはデットオアアライブと書かれた肖像があって、3人の映像が映っている。
この場面では、踊りながら盆も動く。
1回目の盆のスピードと、2回目に動くときのスピードが少し違う気がするので、ぜひ確認していただきたいところ。
銀行強盗が成功すると、3号セリがあがり、一味が逃亡するような演出となる。
クールさんと王女の別れがつらいシーンでもある。
ちょっとハスに構えた3号セリと効果音により、ヘリコプターで移動しているのだろうなと思わせる演出になった。
舞台転換の見どころたっぷりの作品だが、
さらに、こんな場面も……
宇宙服から早着替えするところは、袖からヒモを引っ張っているのが面白い。
男役群舞。
女王様の書かれた紙幣がふんだんにあしらわれた吊り物!自分のお顔が幕になるってどんな気持ちなんだろうか…
男役群舞の終盤。爆発するところ。
横からスモークがでているが、これは勢いよく噴射されているように見えるので、よく見るモクモクたかれるスモークとは違うタイプのスモークであることがわかる。
何を使っているのだろうか。ジェットスモークマシンの類かな。
バッディでは本当に“異例”なものが多く、タバコの形をしたシャンシャンや怒りのロケットなど“ 宝塚らしくない”ものも多かったですが、キャラクターの作り込みがさすが『芝居の月組』だけあって、下級生に至るまで個性的なんですよね!
バッディとグッディだけじゃなくて、いろんなキャラクターの感情や背景が見えてきて、何度見ても新しい発見のある作品でした。
上田久美子先生はこれでコケたら次はない!!と仰っていましたが、私はぜひ次回作にも期待したいと思える、そんな作品でした。