恋の五色菫

宝塚の新しい観劇のしかたをご提案中!

忠臣蔵とみる旧宝塚大劇場の最後の姿~もはやこれで、思い残すことはござらん!~

宝塚大劇場

1992年まで68年間に渡り宝塚歌劇団の公演を行ってきたが、老朽化のため建て直しが行われた。

現在の宝塚大劇場は1993年に新しく建てられたものである。とはいえもう20年以上もたっている劇場なのだ!

 

宝塚大劇場の最後の演目となったのが『忠臣蔵
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この作品は雪組杜けあきさん主演で上演され、杜けあきさんの退団公演としても注目された作品だった。

 

先日、この作品が放送があり、

久しぶりに観ることが出来る!と思って見ていたら、映像がリマスターされていてHD放送すごい!と感動した。

下級生にいたるまでお顔がハッキリ見える所も素晴らしいが、旧宝塚大劇場の舞台も綺麗に映っていたので、今回ブログを書くことに決めた。

 

今回は『忠臣蔵』を通して、旧宝塚大劇場の舞台機構の最後の姿をご覧頂きながら、現在の舞台機構との違いも見て頂きたいとおもう。

 


オープニングの赤穂浪士がズラリと銀橋に並んだ演出は今でも宝塚史に残る名シーンである。
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ここからのアングルだと、現在の宝塚大劇場との違いは特になさそうである。

強いて言うなら、フロントライトの場所くらいだろうか。

 

しかしありがたいことに、このシーンでは大階段の設置を一部始終見せてくれる演出がされていた!

 

宝塚大劇場の大階段の設置までの所要時間は『3分10秒』であったと聞いた事があったのだが、たしかに今よりも速度が遅いことと、吊り上げ方式での収納だったため、その分時間がかかっていたのだなと理解した。

 


マイクに関しては、まだピンマイクというのがなくハンドマイク型のものを衣装に引っ掛けて使用していることがわかる場面もあった。

マイクをつけるための衣装さんの細かいお仕事もわかる。

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エレベーターマイクもちゃんとあるが、黒色のマイクを使用しているようだ。

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見えにくいかもしれないが、フットマイクもあってこれは今のPCCのタイプではなく大きなものだったんだなぁという事が分かった。

 

 

 

床機構がよく見える場面も。

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今の劇場の床機構は舞台面の設置面がここまで分かりやすくなっていないので、セリの位置が良く見えるのがありがたいが、景観に欠けるな。

 

手前の左側に小さな枠があるのが見えるだろうか。

これが今は使われていない5号セリだ。

この作品でも使用されてはいなかったけれど、ちゃんと存在する事が分かる場面だった。

 

 

大階段。
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現在と同じく26段であるが、幅は今よりも2cm狭く21cmであった。

詳しい所まで分からないが、私が見ていて思ったのは、大階段の斜面が今よりも緩やかであるように感じる事。

大階段の上部に大きな吊り物がかかっているが、1番上の生徒さんまで見えるという事は、やはり少し小さいのだろうか。

 

 

 

小林一三先生が旧宝塚大劇場を建設したが、

この大きな劇場を余すことなく使用する事を、当時の演出家の先生に課していた課題であったようです。

そして、大劇場を生かすための工夫として取り入れられたのが、大階段であり、床機構のセリや盆たちでした。

宝塚大劇場が、4000人も収容できる大きな劇場であったからこそ、この素敵な舞台機構たちに出会えたのだなと思うと感謝の気持ちが絶えませんね。

 

実は東京宝塚劇場は2021年に改装工事に入ることが噂されています。

新型ウィルスの影響でどうなるかわからないですが、改装によって大劇場の歴史が変わるのかな?なんて思ったりしています。

 

不安な日々が続きますが、

宝塚大劇場とともに繋がってきた宝塚の歴史や想いがこれからも繋がって行きますように。