愛した日々に偽りはない~オーシャンズ11~
ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットが出演した映画作品。あらすじは、ラスベガスにあるカジノホテルを舞台に、11人の男達がホテル王を出し抜き金庫破りに挑むハリウッド映画「オーシャンズ11」。
2011年の柚希礼音さん・夢咲ねねさん主演で星組において、宝塚歌劇の小池修一郎先生がこの作品を世界で初めてミュージカル化。
今回は2019年真風涼帆さん主演で宙組にて上演された、オーシャンズ11から舞台転換をみていこう。
ラスベガスのカジノが舞台であるが、セットは思ったよりシンプル。
スロットマシンやキラキラな吊物、周りはホテルの壁のようなセットで囲われている。
シンプルといえど侮ることなかれ!
この壁のセットの形態変更はすごい!
ダニーとラスティがメンバーを1人ずつ集めていく場面であるが、壁だけで場面転換をしていく。
左右の壁が手前に開くと、お部屋に。
このモロイ兄弟の場面終わりに壁が元に戻る所が映り込んでいた!!!袖から壁をひっぱってる!ひっぱっているぞー!
壁は映像投影もできる。万能。
小池先生の作品で、1幕のクライマックスを語らずしてどうする!と思われるだろう。舞台転換においても1幕の終盤は興奮もの。
ファンの中でも『イケコの1幕終わり』という言葉があって、1幕の終盤はキャスト総出演で2幕に向け、1番の盛り上がりを演出される事が多い。
2幕へつづく!To Be Continued!という感じ。
もちろんこのオーシャンズ11でもそんなイケコ節が炸裂。
『JACKPOT』というナンバーでスロットが大当たりする場面。
この場面では、たった3分30秒ほどのナンバーで私が数えただけでも6回ほど転換がみられる。
まず奥のカーテンのような吊物が上がり、電飾があらわれる。
後ろの2号せりがさがり、ディーラーたちがはける。
盆が時計回りに半回転して、スロットマシンが舞台後方に、階段が正面に回ってきた。
さらに盆がまわったと同時か、その前かに3号せりが少しあがっている。
さらにこの後スロットマシンがすこし移動する。
ダニーたちがそろって踊るところでは、1度「パラディソ」の吊物がハケる。
再度「パラディソ」の吊物がおりたら、11人がカッコよく背中を見せて幕。
かっこいい。ただただかっこいい。背中で魅せる男役の色気!すてき!とファンは幕間の休憩時間のトイレで大盛り上がりするだろう。
数秒の踊りの為に、パラディソの吊物を上げたり、下げたりすごく細かい転換をしたのをみたら、私は幕間の休憩時間のトイレで大盛り上がりするだろう。
やっぱり『イケコの1幕終わり』はファンを裏切らない!!
2幕は金庫へ潜入する場面をみてもらいたい!
ライナスが下手からブランコにのって登場。
バトンに吊されて、滑車がついているのだろう。
ライナスの移動はスタッフさんによる手動だと思われる。
あとからダニーも降りてくる。
これは別々のバトンなんだろう。セットの上に着地するとき、着地点が真横ではなく、ちょっと斜めになっている。
2号せりの上に置かれた、金庫のセットが登場。
レーザー光線のような照明が仕込まれているのか!?ムービングかな??どうみてもセットの中にあるのだけど、まさかムービングまで付けられるとは思わなかった。
このセットは天井がパカッと開く。
ガイズ&ドールズのときのマンホールと同じ仕組みだと思う。(よかったらブログがありますのでご覧ください!)
ハシゴを下に取り付ける部品までついてて、このセット本当にすごい!
さらに奥から金庫の中身のセットがスーッと登場し、中からお金がたーくさん!
無事カジノ強盗ミッション大・成・功っ!!!
潜入の場面の表現方法には興奮した。
潜入するシーンはわくわくするが、舞台転換もわくわくするものばかりで、何回も巻き戻し、コマ送りでみたほど。
一見あまり派手な装置がないので、壁やスロットマシンなどがすごく細かい転換をしているのに良く見てもらわないと見過ごすかもしれません。
頑張ってるのに気づかれないなんて、なんてスタッフさん泣かせな作品!!!と思いながら舞台転換をみてました。
ダニーからテスへの愛にも負けないくらい、私も舞台機構を愛した日々に偽りはない!と、スタッフさんにお伝えしたい。