恋の五色菫

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演出家と舞台転換~齋藤吉正~

サイトーくん。ファンからは親しみを込めて呼ばれる齋藤吉正先生。

サイトー先生はお芝居、ショーともに演出を手がけどちらも好評を得ている演出家さんだ。

 

今回はサイトー先生のお芝居で大劇場公演の3作品

をご紹介しよう。

2012年音月桂さん主演の雪組にて上演された『JIN-仁-

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2016年北翔海莉さん主演の星組にて上演された『桜華に舞え』

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2019年珠城りょうさん主演の月組にて上演された『夢現無双』

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以上の3作品。

サイトー先生は時代劇を得意とされているので、時代劇3作を比較していこう!

 

 

JIN-仁-

累計800万部突破した漫画原作で、ドラマ化もされた作品。南方仁と橘咲の時空を超えた純愛、坂本龍馬との友情を中心に、現代人が忘れかけている命の尊さを、時を超え二つの人生を生きた仁の生き方を通して訴えかけるヒューマンドラマとして壮大に描いた作品。

 

 

この作品では江戸の街並みや、病室、吉原など、とにかく場面がたくさんあり細かい小道具やセットが多い。

建物内などは高低差のあるセットを使用しているのも特徴。


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舞台後方に柵のついた台がみえるだろうか。

このセットは階段なのだが、これが高低差のあるセットの移動のためなどに使用される事が多い。

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仁友堂の入り口部分にもつかわれていたり、たまには背景などにもなったりする。

階段のほかに、4本の灯りのついた柱が各場面を少しポップに明るくしていてとても良い。

 

 

『桜華に舞え』

明治維新の立役者の一人ともなった桐野利秋明治新政府では陸軍少将に任じられながらも、敬愛する西郷隆盛と共に下野し、“避けられぬ宿命”西南戦争へと身を投じて行く。彼が命を賭けて守り抜こうとしたものは果たして何だったのか……。

 

この作品の舞台転換は3号せりのセットが西郷隆盛の部屋になったり、いくつものセットに飾り替えられているのが印象的。

 

大久保利通の書斎
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日本地図
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これは本来3号せりの裏側の部分であるが装飾してあるパネルがはめ込んであるのか……はたまた幕なのか……

あまり派手な転換ではないが、飾り替えなどがあると裏ではどうなってるのだろうか?飾り替え戦争が起きているのか?間に合うのだろうか?とドキドキする。

 

 

夢現無双』

吉川英治原作の小説を元に、宮本武蔵の生き様を描き上げた。因縁で結ばれた佐々木小次郎との宿命の対決の先にあるものとは……。

 

この作品の舞台転換は、盆を惜しげも無く回転させるシーンが印象的だった。

 

武蔵が柳生の里へ剣術指南を受けに行くシーン。

柳生石舟斎の部屋から始まり→居候しているお通の部屋→武蔵が滞在する部屋→道場へと転換する。 

 

お通の部屋

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武蔵の部屋
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すべての部屋が盆にセットされており、4分の1位ずつ盆をクルクル動かして転換していく。

ものの3分程のシーンであるが、部屋の移動に時間がかからないのでとてもスムーズでストレスなく見ることができる場面だった。

照明の当たる所が四角くカットされていることにより、部屋のサイズを表しているのもとても良い。

 

 

 

この3作品を通して、同じようなセットや同じような演出をみつけたので比較してみることする!

 

【開演!吊り物対決!】

サイトー先生は開演時にレビューショーの名残りなのかタイトルなどの吊り物を出されることが多い。

 

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どれも作品をイメージする素敵な吊り物たち。

開演前にわくわくさせること間違いなし!!!

 

 

【オープニングナンバー!せり使いすぎ対決!】

基本的にオープニングではほぼ全キャラクター出演するナンバーを演出されることが多い気がする。

 

特にせり使いすぎなのは『桜華に舞え』と『夢現無双』でみられたのだが、主人公たちの登場やメインキャストをせりを使ってトントントンと登場させているのが目立った。

だいたい2分~3分程度のナンバーであったが、ほぼ全部のせりが登場する。

せりの乱れ打ち!!!最高ですね!!!

 

 

【女と男の対決!!郭対決!!】

吉原が登場する『JIN』と『夢現無双』どちらも郭のセットが作られている。

 

『JIN』
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後方には先程紹介した階段がここでも使用されている。3号せりを少しだけ上げて高さを出している。 

柱の灯りを赤にするだけで、豪華で妖艶な雰囲気を漂わしていて素敵。

 

夢現無双』
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こちらの方が一見質素にみえる。後ろの花がインパクトあたえている。

この作品では両面リバーシブルなセットが多いので、正面2本の赤い灯りの柱は、実は裏側は松の木になっている。

このまま180度回転すると道場になっていたはず……。スムーズな転換をさせるアイデア力を感じる。

 

 

 

比較してみると、どれもテイストの違うセットであるけど何処か似たような、共通している部分を感じますよね。

これはやはりデザイナーさんが同じだからでしょうか??

齋藤吉正先生はご自身の作品の装置はいつも國包洋子先生が担当されています。

演出家の先生ごとに、装置デザイナーさんが固定でついていることが多いのは、自分のイメージした世界観を創るのは装置デザイナーさんの力次第だからでしょうか。

こうなってくると、サイトー先生のレビュー作品もチェックしてみないとならない気がしますね!!!

それはまたいつかの機会に。

みなさんも演出家先生ごとの共通点など探してみてはいかがでしょうか。

 

 

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  • 発売日: 2012/12/24
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