その服昨日と同じだな!~私立探偵ケイレブハント~
お久しぶりです。少し間があいてしまいましたがブログを更新していきます!
前回から宝塚の名作が立て続けだったので次は宝塚オリジナル作品の舞台転換をご覧いただきたいと思う。
宝塚には以前ご紹介したような、原作物(2.5次元など)、海外ミュージカル物、オリジナル物などが上演されている。実際のところ上演されている7割の作品がオリジナル作品である。
今回は私の大大大好きな作品である『私立探偵ケイレブハント』をご紹介。
2016年に雪組の早霧せいなさん・咲妃みゆさん主演で上演された作品で、正塚晴彦先生の脚本・演出。
あらすじは私立探偵のケイレブが依頼人の死亡に関与したことから、大きな組織の闇に直面し事件に巻き込まれていくお話。
まずはじめに、本作品では舞台装置というような大きなセットがほとんど存在しない。
あるのは枠のみ。枠……のみだ。
手前の画面を囲うように、大きな枠があるの分かるだろうか。これは3号せり。
既にご紹介している通り、3号せりはもともと空洞になっているセリなので、この枠をそのまま使用したと思われる。
(通常の3号せり)
問題は先程の画像の3号せりの奥にある小ぶりな枠。
私の憶測では、これは2号せりの上に、枠のセットを組んだものだと思われる。
(通常の2号せり)
普段の2号せりは3つにわかれる特殊なセリだが、高さを揃え、上にセット組むことも珍しくはない。
しかし!!!重要なのはそこではなくて、
別のシーンで2号せりを利用し、少し上げた状態にした、小舞台が出てくる。
この真ん中の小舞台が2号せりだとおもわれる。
何が問題かというと、下の図のように通常のセリの上に枠のセットが組まれていることはさっきお伝えしたが、そのセットが乗ったままの状態で、この小舞台ができていること。
人が乗っているのは、セリではなくて、セリの上にあるセットだということ!!!
落ち着いて考えてみると少し怖くないですか???
2号せりの定員は6人。
セリにセットがのっていて……舞台では5人乗っている……重量オーバーにはならないのか……?そもそもこのセットとせりの接着面はどのように……?ぐらついたりしないのか……?と疑問がたくさんわいてくる。
でもとにかくすごいな宝塚!!!!!!!と感動する。この感動が伝わっているかどうか疑問だけれど……。
お客さんにどうなってるの??と思わせられれば勝ちだ!!!とスタッフさんが仰っていたのを思い出すが、これは……完敗。
舞台上には同じような枠が大、小あるが、ほとんど舞台装置はこれだけ。
探偵事務所の事務所であったり、街中の景観に溶け込んでいたり、アパートの一室になったりする枠。
とても万能な枠。すばらしいな枠。
盆が回転すると横からのアングルの枠もみれる。
これはいいながめだなぁ(・∀・)にやにや
この作品では枠が回転したり、枠付きのせりが上下したりすることによって転換する。
そのため、幕は1回も下がらない!!!!
転換のための暗転もほとんど無いといってもいいだろう。舞台転換のためというより、シーンがかわるのを分かりやすくするために暗転があるという感じか?
転換に関係なさそうなところで、盆が回っていたり、せりの昇降があったり、必要以上に行われる気がする(笑)
いま何回転目なのか把握出来てるのか??舞台進行さん泣かせでは??と思うほど。
そう、なんといっても演出の正塚先生は人呼んで『舞台機構の魔術師』なのだ!
(そう呼ぶのは私だけかもしれないが)
正塚先生の作品はかつては宝塚らしくないと評価されることも少くなかった。
この枠を見ていただければわかるように、豪華な装置やキラキラな衣装を想像される方にとってはそうかもしれない。
しかし、正塚先生はハードボイルドで大人な男女の恋愛を描くのがお得意で、緻密にリアルなお芝居を追求される。そして作られる作品はオリジナル作品が多い。
ミュージカルというより、映画やドラマをみているような感覚になるので、宝塚の苦手意識のある男性などにはオススメなんじゃないかと個人的にはおもっている。
宝塚音楽学校での指導もされており、ご多忙なのか、最近あまり大劇場作品をお見かけせず本当に悲しいところだが、久しぶりとなった大劇場作品の本作ではやはり『舞台機構の魔術師』だった。
小劇場での演出はされるのだが、そこは舞台機構があまりにも少ないので測れないなぁ……と思う今日この頃。大劇場での公演を強く熱望しているところだ。