恋の五色菫

宝塚の新しい観劇のしかたをご提案中!

シャンシャンをつくろう!~ベルサイユのばら~

なぜこれを先につくらないのか!?

と思われた方は多いとおもいます。シャンシャンをつくろう!と思いたくなる作品ナンバーワンを差し置いて違うものに走ってしまった感もあります。

 

しかし、今回のシャンシャンは友人の結婚式の前撮りに使って欲しいなと思って作成したものなので、真面目に作らなければという気持ちとお遊びな気持ちが半分、半分という感じで制作に取組みました。

 

ベルサイユのばらのシャンシャンは毎回このブーケ型で、薔薇の色や蝋燭の本数など少しづつ違う所はあれど基本は同じ仕様。

 

赤色の薔薇をつかったシャンシャンを選びました!

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明日海りおさん・花乃まりあさん主演で花組公演で使用された『ベルサイユのばら~フェルゼンとマリーアントワネット編~』のシャンシャンをイメージして作成。

 


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今回も材料は100円均一できるところまで揃え、土台となるブーケをつくるブーケ台のみは別途購入した。

(画像にはブーケ台がのってません……)



作成の手順は結構簡単♪

まず造花のバラをある程度の長さで切ります。

1輪ずつにしておき、後から作業が楽なようにしておく。(造花のくきの部分は結構硬い)

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ちょっとでも雰囲気がでればと思い、バラの花びらの所を金色のラメネイルでキラキラ仕様に!

 

あとは綺麗にバラをブーケ土台にさすだけ!!!

ここまですればほぼほぼ完成(笑)

本当に手順が少なかったですね……。

 

こちらが完成品。


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ブーケ台の底にはレースを接着し、

持ち手の部分に金色と赤色のリボンを巻く。

 

やはりベルばらのシャンシャンらしさを出すために、ロウソクが必須!!

そしでシャンシャンは光ってなんぼ!!

だと思ったので、お仏壇に備える用のLEDのろうそく風ライトを購入。(これは100円均一でも入手可能です)

更にロウソクにスパンコールをつけてちょっとおしゃれに♪


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光るとこんな感じ。

ごらんなさい♪ごらんなさい♪ベルサイユのばら〜♪とやりたくなりますね!(やりました)

 

結構真ん丸なフォルムになってますが、お好みでバラの位置を変え台形にしてもよかったかもしれないですね。

 

本当にブーケは簡単にできたので、手作りでオリジナルブーケの作成おすすめです!!!

皆さんもぜひ。

 

 

手作りシャンシャンですが、実はもう一作品作ってしまいました(笑)また後日あげさせていただきます。

その服昨日と同じだな!~私立探偵ケイレブハント~

お久しぶりです。少し間があいてしまいましたがブログを更新していきます!

 

前回から宝塚の名作が立て続けだったので次は宝塚オリジナル作品の舞台転換をご覧いただきたいと思う。

宝塚には以前ご紹介したような、原作物(2.5次元など)、海外ミュージカル物、オリジナル物などが上演されている。実際のところ上演されている7割の作品がオリジナル作品である。

 

今回は私の大大大好きな作品である『私立探偵ケイレブハント』をご紹介。

2016年に雪組早霧せいなさん・咲妃みゆさん主演で上演された作品で、正塚晴彦先生の脚本・演出。

 

あらすじは私立探偵のケイレブが依頼人の死亡に関与したことから、大きな組織の闇に直面し事件に巻き込まれていくお話。

 

 

まずはじめに、本作品では舞台装置というような大きなセットがほとんど存在しない。 

 

あるのは枠のみ。枠……のみだ。

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手前の画面を囲うように、大きな枠があるの分かるだろうか。これは3号せり。

既にご紹介している通り、3号せりはもともと空洞になっているセリなので、この枠をそのまま使用したと思われる。
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(通常の3号せり)

 

問題は先程の画像の3号せりの奥にある小ぶりな枠。

私の憶測では、これは2号せりの上に、枠のセットを組んだものだと思われる。

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(通常の2号せり)

普段の2号せりは3つにわかれる特殊なセリだが、高さを揃え、上にセット組むことも珍しくはない。

 

しかし!!!重要なのはそこではなくて、

別のシーンで2号せりを利用し、少し上げた状態にした、小舞台が出てくる。

この真ん中の小舞台が2号せりだとおもわれる。

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何が問題かというと、下の図のように通常のセリの上に枠のセットが組まれていることはさっきお伝えしたが、そのセットが乗ったままの状態で、この小舞台ができていること。

人が乗っているのは、セリではなくて、セリの上にあるセットだということ!!!

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落ち着いて考えてみると少し怖くないですか???

2号せりの定員は6人。

セリにセットがのっていて……舞台では5人乗っている……重量オーバーにはならないのか……?そもそもこのセットとせりの接着面はどのように……?ぐらついたりしないのか……?と疑問がたくさんわいてくる。

 

でもとにかくすごいな宝塚!!!!!!!と感動する。この感動が伝わっているかどうか疑問だけれど……。

お客さんにどうなってるの??と思わせられれば勝ちだ!!!とスタッフさんが仰っていたのを思い出すが、これは……完敗。

 

 

舞台上には同じような枠が大、小あるが、ほとんど舞台装置はこれだけ。

探偵事務所の事務所であったり、街中の景観に溶け込んでいたり、アパートの一室になったりする枠。

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とても万能な枠。すばらしいな枠。


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盆が回転すると横からのアングルの枠もみれる。

これはいいながめだなぁ(・∀・)にやにや

 

この作品では枠が回転したり、枠付きのせりが上下したりすることによって転換する。

そのため、幕は1回も下がらない!!!!

転換のための暗転もほとんど無いといってもいいだろう。舞台転換のためというより、シーンがかわるのを分かりやすくするために暗転があるという感じか?

転換に関係なさそうなところで、盆が回っていたり、せりの昇降があったり、必要以上に行われる気がする(笑)

いま何回転目なのか把握出来てるのか??舞台進行さん泣かせでは??と思うほど。

 

そう、なんといっても演出の正塚先生は人呼んで『舞台機構の魔術師』なのだ!

(そう呼ぶのは私だけかもしれないが)

正塚先生の作品はかつては宝塚らしくないと評価されることも少くなかった。

この枠を見ていただければわかるように、豪華な装置やキラキラな衣装を想像される方にとってはそうかもしれない。 

しかし、正塚先生はハードボイルドで大人な男女の恋愛を描くのがお得意で、緻密にリアルなお芝居を追求される。そして作られる作品はオリジナル作品が多い。

ミュージカルというより、映画やドラマをみているような感覚になるので、宝塚の苦手意識のある男性などにはオススメなんじゃないかと個人的にはおもっている。

宝塚音楽学校での指導もされており、ご多忙なのか、最近あまり大劇場作品をお見かけせず本当に悲しいところだが、久しぶりとなった大劇場作品の本作ではやはり『舞台機構の魔術師』だった。

小劇場での演出はされるのだが、そこは舞台機構があまりにも少ないので測れないなぁ……と思う今日この頃。大劇場での公演を強く熱望しているところだ。

 

 

 

 

シャンシャンをつくろう!~クリスタルタカラヅカ~

我が街でも本格的に自粛となり、家で出来ることはないだろうかと考え出した策が、シャンシャンを作ろう!!!であった。

 

シャンシャンとは宝塚の小道具のひとつで、公演の最後にパレードと呼ばれるカーテンコールのようなものが必ずあるのだが、その際に全員が手に持っている小道具である。

舞台転換には関係ないが、宝塚にとって必須アイテム!各公演で作品に沿ったシャンシャンが作られる。毎回どんなシャンシャンになるのか、私も楽しみにしているひとつである。

 

シャンシャンもいろんなタイプが存在する。

まずは盾タイプ。1番スタンダードな形で、盾のようにして持つ。いろんな造形にできるためよく選ばれているのではないだろうか。

次にブーケ(花束)タイプ。これはベルばらなどでよく使用される形だ。

さらにシャンシャンの他にも、羽根扇やステッキを仕様することもある。

 

 

今回作成したのは盾タイプ。

個人的に1番好きなレビュー作品の『クリスタルタカラヅカ』のものを選んでみた。

こちらが実際使用されたシャンシャン。


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2014年月組で公演。中村暁作・演出。

「ショーはイメージの結晶」というコンセプトのもと、“情熱の結晶”“虹の結晶”“夢の結晶”などのシーンで構成した、ダンスを中心にしたエネルギッシュなショー。

2017年同組の全国ツアー公演でも上演されている。

 

なかなかマイナーな公演かもしれないけれど、どの場面も無駄がなく、飽きのこない初心者でも楽しめる内容だとおもう。

中詰めのラテンのシーンでの舞台転換はみどころなのでぜひ!!!!!

 

 

作成の手順はこちら。


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材料はすべて100円均一で揃えた。

 

1番のメインの造形といえるクリスタル。

1番大変だだったし、これがきれいに作れないと意味がなかったので気合いを入れて作ったつもり。


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ちなみに加工できるアクリル素材には詳しくなかったので、下敷きで代用。

下敷きを切って、グルーガンで接着しサイズの違うものを4つ作った。

 

その後、中にオーロラフィルムのセロファンと、同じタイプのクッション材をいれてキラキラに。

これで大分見栄えがするように……!


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ちなみに八角形のクリスタルは発砲スチロールを重ねてセロファンを貼っただけ。

クリスタル達をひとつの紙にはりつけ、縁どりをする。

 

土台となるパネルを2枚、青色と銀色をくっつける。そのパネルにクリスタルをグルーガンで接着。


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だいぶ形になった!!!

あとは仕上げだけ。

土台のパネルに金と銀の縁どり(スパンコールテープ)をし、ちゃんと持てるように裏に荷物を持つ用の取手を付けた。

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最後に取手にリボンをつけたら完成〜!!

(リボンの長さは2.2mときまっている)

 

こちらが完成品。


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ちなみにちょっと手を加えて、光る仕様に☆

 


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シャンシャンは初めて作ったのですが、皆さんにお見せできる形になんとかできてよかった……!!

正直なんで作ってるんだろうと思いながら、心が折れそうになった瞬間もあったけど、形が見えてきたときはワクワクがとまらなかったです。

 

まだまだ家にこもってないといけないので、また何か作れれば良いなぁと思っているところ。

皆さんもお家時間に何か作ってみてくださいね♪

 

 

 

 

セピア色の化石ともなれ〜ベルサイユのばら~

わが町でもお家にいなさいとのお達しのため、ブログの更新に勤しもうと思う。

 

次にご紹介するのはベルサイユのばら

宝塚といえば!!!な作品だろう。

 

『ベルばらならみてみたい!』

宝塚を観たことのない方からマストといっていいほど頂戴する言葉だ。ぜひみてほしい。

が!!しかし!!なかなか上演されない作品でもある。ぜひチャンスは逃さず観劇して頂きたい。

 

ベルサイユのばらとはフランス革命前後のベルサイユを舞台に、男装の麗人オスカルと、フランス王妃・マリー・アントワネットらのドラマティックな生涯を描いた作品。

宝塚ではどの登場人物をメインにするかで、脚本も演出も異なっている。

有名なのが、“ オスカルとアンドレ編”・“フェルゼンとマリーアントワネット編 ”の2つである。

 

 

直近で公演したベルばらの中から大劇場作品である3つをご紹介したいとおもう。

(中日劇場公演や全国ツアー公演は除外した)

2013年月組『オスカルとアンドレ編』

2013年雪組『フェルゼン編』

2014年宙組『オスカル編』

 

 

 

とは言ったものの……これは皆さんにぜひオススメしたい!これぞ興奮する舞台転換!というのは存在しなかった……(笑)

なぜなら舞台機構が動かなかった。薄々気づいていたが、本当に数える程しか動いていない。

主な舞台転換の方法は、場面が変わる際に幕がしまって裏でセットチェンジが行われているというもの。

 

その際に百合の紋章をあしらった幕がかかるのだが、やたらにでてくる。こいつが憎い。またこいつか!またこいつが!という感じで再三登場してくる。

この幕がかかっているときは幕の中で大きなセットが転換されていると思って頂きたい。

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しかしベルばらの装置はでかくて、とにかく豪華!!

オープニングは3作品どれをみても素晴らしいものばかりだった。

 

幕開きは必ずこの『ベルサイユのばら』というタイトルがかかれたセットからはじまる。

 

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この幕開きで客席からはため息と歓声が湧く。

ベルばらをみている!と興奮する気持ちはよく分かる。 

 

そして漫画絵の幕が舞台上に出てくると、そこにメインキャストの絵柄が書いてあり、その幕が上がると、キャスト本人が登場するというしかけ。


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(オスカルとアンドレ編)

 


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(オスカル編)

池田理代子先生の書かれた絵の中から出てくるという再現率の高さに自信がないと出来ないこの演出。さすがである。そして納得の仕上がり。こちらもため息ものである。

 

そして名場面を飾る素敵なセットが多数ある。

たとえばこちらは、フェルゼン編より王宮のセット。フェルゼンがスウェーデンに帰国すると告げるシーンで使われる豪華なセット。

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こちらはどの作品にも登場するシーンで、オスカルが市民と共に立ち上がり戦いに向かったあと、アンドレが死をむかえる場面。とても切ない。

オスカルとアンドレと言えばこの橋。

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もう1つオスカルとアンドレと言えばなセットがこちら。オスカルの私室のセット。ここではオスカルとアンドレが結ばれる今宵一夜のシーンが行われ、皆様ご存知の愛〜それは〜が歌われる事でも有名。f:id:kuis-cream:20200425145805j:image

セピア色の化石ともなれ……!!というアンドレのセリフが個人的に好きだ。

 

またベルばらではレア装置のリフトが使用されることも多く、装飾もとても豪華だ。


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(オスカルとアンドレ編)


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(オスカル編)

オスカル様と言えばペガサス。ペガサスモチーフのリフトやセットが多く作られている。 

このリフトはアームが上下に動いたり、せり出したりする。客席の前列あたりまでは出てくることができるので、圧巻。運が良ければ頭上にオスカル様が飛んでくるという体験もできる。

 

残念ながらフェルゼン編にはリフトは登場しないが過去の作品から、豪華な装置をみつけてきた。

フェルゼンとマリーアントワネット編ではアントワネットがフランスに嫁いでくるシーンで馬車が登場。馬車にのったお姫様という乙女の憧れを表現してくれている。

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フェルゼンとアントワネットが密会している場面では必ずこのお船が登場する。

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この2シーンでは盆を回転させることによってセットが動いているよう表現されているため、久しぶりの盆との再会に私は嬉しくなるシーンだ。

 

今回のテーマではあまり舞台転換の素晴らしさをお伝えすることができなかったけれど、ベルサイユのばらを通して宝塚の舞台美術の素晴らしさを感じて頂ければ嬉しい。


ベルばらは1974年に宝塚で初演となった歴史のながーい作品。

ベルばらはセリフや演出も少し古い感じがするが、それも世界観を表現するのに大事なものだなと感じているので、創意工夫されたスタイリッシュな舞台転換をするより、そこにあった舞台転換をすることも必要なのではないかと思った。

あえて古典的なもので、ベルばらスタイルというのを大事にしているのかもしれない。

ベルばらはこれからもこのスタイルを貫いてもらいたい。

 

そしてしばらく上演されていないので、ぜひ大劇場での公演を望んでいる。

その時は皆さんもチャンスを逃さないようにして頂きたい。

 

 

グランドアモーレ!偉大なる愛だ!~エリザベート~

前回十分舞台機構のすばらしさ説明をさせて頂いたので、さっそく本題にはいろう。宝塚の舞台転換のすばらしさも聞いていただきたい。聞いてくれ。

 

さて記念すべき1回目はエリザベートでどうだろうか!宝塚がお好きな人は1度はみたことのある作品ではないだろうか。

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もとはウィーンのミュージカルで1996年に宝塚で初演を迎えてからほとんど演出がかわっていない作品。ほとんど、ほとんどである

エリザベートのストーリーについてはご存知だろうか。オーストリアハプスブルク帝国の最後の皇后エリザベート。1898年に暗殺されて亡くなるまでの彼女の一生を描くミュージカル作品。最後まで自由を求め続けた彼女が、黄泉の帝王トートに導かれながら運命の日を迎えるまでのお話となっている。

素晴らしい楽曲ばかりで初演から20年以上たった今でも愛され続けている作品。

 

何度も繰り返し上演される作品であっても背景等の装置は作り替えるようで、背景など毎回同じ色はだせないんだな~などという話を装置さんが仰っていた。

 

とはいえエリザベートはそこまで舞台機構がガサガサと動くことはなく、派手な転換はあまりない。

個人的にすきな転換シーンを上げてみようと思う。 

 

私だけに

エリザベートを語る上ではとても重要なナンバーが歌われているシーンではないだろうか。

王家に嫁いだエリザベートはで王宮での仕来りや束縛に耐えきれず、私は私だけのものだと歌うシーン。

 

まずこのナンバーの始まりはベッドの上から。

エリザベートが自殺をとどまり、短剣をおろしたところが曲を始めるきっかけとなっている。

 

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セットはエリザベートの私室。おおきな窓があり、ベッドとサイドチェストの上には燭台などがおかれ、少ないセットながらお貴族様の高価なものと窺える。

 

このベッドは前回ご紹介した2号ぜりの上に置かれており、盆が正面よりやや斜めに停止しているため、セットがはすに構えた感じに見えている。

さらにセリの横に階段が1つずつ下手側と正面についている。

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(これが通常の2号せり。3つともを同じ高さに固定しセットとして使っているよう)

 

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曲中カーテンのヒモを引く動作をきっかけに、閉まっていたカーテンが開いていく。

このカーテンは紗幕の様な手動のものだろう。

だいたい20秒ほどであくが、袖でスタッフさんがよいしょよいしょと開けているのかな。

 

このあとエリザベートが階段を降りたところで、ベッドがお役御免とせり下がる。

と同時に、結構なスピードで階段も横にはけていく。本当に速いので、よそ見していると気づかないくらいには速い(笑)

ちなみに階段は引っ張られている様子ではないのでラジコン操作かなとおもっているがどうだろうか。

 

その後窓だけのひらけた舞台になるが、スモークがもくもくとわいてきて空へ飛び出してきたかのような感じに。

 スモークにもいろいろ種類があるが、宝塚では前方の席に座っている人の話だとひんやりした煙がくるというのも聞くし、なんか甘い匂いがするとも聞くので、ドライアイスと液体系のどちらもあって、シーンによって使いわけているんじゃないかと思う。

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そうこうしていると今度は盆が回転し始めて、4号せりからそっと黄泉の帝王トートが登場する。

トートの登場とこの演出により、ここでエリザベートが生死をさまよって私室から天界に場面転換したのだな~とわかる。 

でも見て頂きたいのは、せり上がりながら盆が回転するところ!!!

うおぉぉ〜!まわってるまわってる!あがってるあがってる!どこでせりは止まるのか〜!盆はいつまでまわるのか〜!おっと失礼。取り乱した。

 

空気読んでるトートがそっと現れるのと、盆の回転に負けじとその場を歩いてるエリザベートはなかなかに健気。

盆はセリが上がりきっても回転し、4号せりが正面になるように停止。

エリザベートは力尽き意識を失い、このナンバーも終わるという流れ。

ここまでの4分の曲中に私が数えただけでも6回の転換があった。

多いと思うかは人それぞれだが、なかなかいい転換がみれるので個人的には好きだ。

 

 

この後しばらく興奮する転換は特にないが、ウィーンのカフェからはおすすめだ。

 

ウィーンのカフェ~ミルクまで

ウィーンの市民たちがカフェにて新聞の記事を読みエリザベートの噂をしている。

エリザベートはウェスト50センチ!」

「たまごとオレンジでダイエット!」

 などと歌い、とっても楽しいナンバーなのでみんな一度はマネしたはずだ。もちろん私もやった。

 

このシーンで使われているのが3号せり。どこにあるのかというとアーチの中の空間が3号せり。

片側に壁をつけることによってお部屋のようになるのが3号せりのすごいところ。

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(これが何も無い時の3号せり)

さらにこのシーン終わりに盆がくるっと1回転すると……

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エリザベートの書斎へ早変わりするのであーる!!この書斎は先程同様2号せりの上においてあり、上手側に扉と階段が取付けられている。

さらにさらに!このシーンが終わると盆がもう1回転し、またウィーンのカフェのセットに戻り、みなさんお待ちかねのミルクのナンバーに突入するというながれ!!!!クルッ!クルッ!と惜しげも無く盆を廻すなんて最高でしょう??

 

ここの転換もなかなかツボなのだが、やっぱり興奮するのは次にご紹介するシーンだ。

 

革命運動

オーストリア帝国に反対する、ハンガリーの革命軍が決起。皇太子ルドルフも口車にのせられ革命へと誘導されていく。セットはウィーンのカフェなのだが、なんと!!うえから!!ひとが!!おりてくる!!

この画像で3号せりの上に人がのっているのがおわかりいただけるだろうか。

初めは先程と同じウィーンのカフェだったのだが、途中でせりが収納。そうするとせりの上にスタンバイしていた黒天使たちが登場!!!!!

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これはたぎる!!!!!たぎりますね!!!!!

正しい3号せりの使い方を教えてくれてありがとうございます!!!という気持ち。

このように舞台機構の上手い使い方をほんとによくわかってらっしゃる…

専用劇場ならではの強味でしょうか。

しかしどうやって高い位置までいってスタンバイしているのかがすご気になる…

演技している人の上をそーっと登ってスタンバイするのはなかなかに萌える話だ。是非見せてほしい。金ならあるぞ!!

 

 

この作品ではさらに

マダムヴォルフのシーンで2号せりにかわいくフリフリをつけてテーブルにしていたり、他の公演ではなかなかお目に掛かれないリフトなんかも使用されているので、ぜひすみずみまでみてもらいたい。

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いかがだっただろうか。

宝塚の舞台機構と転換だけに注目して作品をみてもこれだけ楽しめる。

本物の公演はもーっと楽しいのでぜひ一度は観て頂きたい作品。

毎シーンごとに全然違う顔を見せる舞台機構。

今後もこつこつ紹介していく予定なのでお楽しみに。

 

 

 

 

 

 

 

 

宝塚舞台機構への招待

 こちらでは宝塚の舞台機構をご紹介していく。

 

ご存じだと思うが、日本には宝塚専用の大劇場が2つある。

兵庫県の宝塚にあるのが宝塚大劇場、東京都の日比谷にあるのが東京宝塚劇場

宝塚大劇場の座席数は2550席、東京宝塚劇場は2065席。どちらにも同じ舞台機構を備えた大きな劇場となっている。

基本の作りは同じ劇場だが、舞台の奥行きだけ東京宝塚劇場の方が少し小さい。

 

次に舞台転換を担当するスタッフの内訳(一例)だが、

舞台進行4人(上・下2人ずつ)

舞台機構3人

大道具14人(上・下7人ずつ)

小道具7人(上手4人、下手3人) 

の合計28人。

この人数で運営しているという。

少ないと思うかは人それぞれだが、私は妥当な人数かなとおもう。

これに加え衣装さんなどまだまだスタッフはいるとおもうし、生徒の人数も多いので多すぎても袖がごった返しそうだなと思う。

 

では舞台機構の説明をしていこう。

 

 

 

大階段

宝塚の装置といえばまず大階段を連想するのではないだろうか。

大階段は1927年「モン・パリ」にて初登場。以来、宝塚を代表する舞台機構に!

舞台機構界のトップスターである!

当初は16段だったが、現在は26段。

トップスターさんが立たれスポットライトがあびるところは下から10段目なのだとか。

1段の幅はなんと23センチ!落ちるジェンヌさんがいることも頷けますね。

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使用されていないときは壁面に収納されており、自動で前にせり出す方式。

出てくるまでにかかる所要時間はたったの2分20秒!

80人の重さまでたえられるのだとか。 

タカラジェンヌの重さで80人??りんご80個分??

このアームにような金属だけに支えられたパネルに80人乗っても大丈夫!!!とかなんとも恐ろしい。


 ちなみに東京宝塚劇場は舞台の奥行きが小さいため、大階段が収納できない。

そのため大階段と影段(階段を登るための袖にある階段)は吊り上げ式で収納されている。

 

 

銀橋

大階段の次に有名な装置と言えるだろう銀橋(ぎんきょう)。

1931年「ローズパリ」にて初登場。

客席とオーケストラピットの間にあるエプロンステージの事を宝塚では銀橋と呼んでいる。登場する以前は、客席とステージの間を柵で仕切っていたのだとか(笑)

 

なんで金でなはなく銀…?と思われた方もいるのではないだろうか。

実はかつて旧宝塚大劇場には本当に金橋があったのだそう。

旧劇場は客席が3階席まであったため、上のお客様まで見えるようにとステージの真上に設置されたいた。

 

そしてこの銀橋でソロを歌えるようになれるジェンヌさんは一握りしかいないため、みんなが夢見るステージといえる。

 

 

盆(廻り舞台) 

廻り舞台といわれる360度回転する舞台。

ちょうどステージの真ん中に位置し、回転することで一瞬で舞台転換を可能にする舞台機構。

直径は約14.6メートル。

客席から見ていても結構なスピードで回転するので、ジェンヌさんたちも回転中の乗り降りはかなり大変なのだとか。

 

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せり舞台

上下に昇降する舞台の事を言う。

宝塚には6基のせり舞台が使用されている。

上の図のように盆のなかにある4台は客席側から数えて1号~4号と、両花道にある7号、8号の2台を合わせて6基。

 

1号、4号せりはほとんど一緒で基本的に人の移動のために使われる事が主。

2号せりは3つに分かれ独立して動くことが出来、階段のようにさせることもできる。

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3号せりはせりのなかで一番大きく、最大4メートルまで上がることが出来る。(スポットライトが2.7メートルの位置までしか届かないため通常はそこまで上がることはない)

さらにせりの中がこのように空洞になっており、セットを組むことができる。そのため主にセットとして使用されることが多い。

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そして花道の上手と下手にひとつずつあるせりの上手が7号、下手が8号せり。

歌舞伎などでつかわれるスッポンと呼ばれるものと同様。

どちらも定員は1名、幅1.2メートル、奥行0.9メートル。

 

さて、ここまできて気づいた方もいるのではないだろうか。

せりの通し番号には5号と6号が飛んでいる。実はかつて5号、6号のせりも存在しており、場所は舞台の前方上下に1つずつあり、7号、8号の近くだったそう。

しかし今現在は使われなくなってしまったようで完全に閉じられている。

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いつか使用している作品が見つかればまたご紹介したい。

 

主な舞台機構をご紹介してきたが、これは一部だけでまだまだ背景画を吊る美術バトンの多さであったり、スポットライトも1人が片手で2台動かす特注品だったりと変わったものが多く存在するのが、細かく言い出すときりがなくなってしまう。

またの機会があれば紹介していこうと思う。

 

ここまで読んでくださったのならぜひ次も読んでかえってほしい。

 

 

世界一の舞台転換を

はじめまして。こんにちは。

春ですね。

とてもいい季節なのに不安は増していくばかり。

宝塚も先日6月中の公演中止が発表になり、私も大変ショックを受けている。

自宅にこもりきりだと良くないし、ひっそりブログをはじめてみることにした。

舞台転換に興奮する女による、舞台転換に興奮した事ない方のための、新しい宝塚の観劇方法をご紹介する。

そっと見守っていただけるとありがたい。

 

母の影響で物心ついた時には宝塚のファンだったと思う。

サラブレッドヲタクというやつだ。(そんな言葉はないが)

宝塚の世界が常識だった幼少期はルイ14世の「朕は国家なり」で笑えるクラスメイトが不思議だったし、恋をしたらすてきな音楽が流れはじめるのだろうと本気でおもっていたこともあった。サラブレッドヲタクというやつだ。

そうやって青春がゆがんだ常識に縛られていたが今でも縛られ続けてる。

あの素敵な世界に。あそこは楽園だ。エデンだ。

成長するにつれ舞台を操る人になりたいと、これまたなぜかオペラ座の怪人のような思考回路だが、おかげですこしだけ舞台に詳しくなった。

しかし私の知識など非常に薄く、たいして持ち合わせていないのであまり怒らないでもらいたい。怒られるのこわい。

 

宝塚の素晴らしいところは全てが宝塚制であるということではないだろうか。

タカラヅカレビューカンパニー”というだけあって本当に全てがメイドイン宝塚!

役者、劇場、演出家、衣装、運営スタッフ、DVDを作る人ですらも全て。(中には子会社もあるけどね)

これだけの規模のカンパニーは日本で宝塚だけなのではと思う。

 

そしてみなさんが一度は目にしたことのあるだろうあの大劇場の中にほとんどの作業場があるのをご存じか。

舞台の近くに衣装さんの作業部屋があると聞いたことがあるし、大道具さんの作業場はなんと舞台の真裏だ!

夢の舞台が公演されている後ろではトントンカンカン工事現場みたいなのがひろがっていると思うとなんだがすごい。防音もすごい。

 

さらに宝塚は舞台転換も世界一!と謳われている。

舞台転換の速さもさることながら、転換数も尋常じゃないのだそう。

そのお手伝いに一役買っているのが、舞台機構。

舞台機構とは何ぞや?と思っている方もいるだろうか。

舞台機構とは、舞台上にある装置で演出をより効果的にするための装置のことをいい、音響や照明機材などはもちろん、せり舞台や廻り舞台、オーケストラピットなども含んでいる。

宝塚の舞台機構にはせり舞台などがあるのはもちろん、宝塚とならではの装置である大階段、銀橋などもその一つだと言えるだろう。

 

ここでは宝塚がどのように舞台機構を駆使し“ 世界一の転換”を実現しているのか研究した結果を発表していきたいと思う。

次に実際に使われている舞台機構をご紹介している。

どうぞお付き合いください。