恋の五色菫

宝塚の新しい観劇のしかたをご提案中!

グランドアモーレ!偉大なる愛だ!~エリザベート~

前回十分舞台機構のすばらしさ説明をさせて頂いたので、さっそく本題にはいろう。宝塚の舞台転換のすばらしさも聞いていただきたい。聞いてくれ。

 

さて記念すべき1回目はエリザベートでどうだろうか!宝塚がお好きな人は1度はみたことのある作品ではないだろうか。

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もとはウィーンのミュージカルで1996年に宝塚で初演を迎えてからほとんど演出がかわっていない作品。ほとんど、ほとんどである

エリザベートのストーリーについてはご存知だろうか。オーストリアハプスブルク帝国の最後の皇后エリザベート。1898年に暗殺されて亡くなるまでの彼女の一生を描くミュージカル作品。最後まで自由を求め続けた彼女が、黄泉の帝王トートに導かれながら運命の日を迎えるまでのお話となっている。

素晴らしい楽曲ばかりで初演から20年以上たった今でも愛され続けている作品。

 

何度も繰り返し上演される作品であっても背景等の装置は作り替えるようで、背景など毎回同じ色はだせないんだな~などという話を装置さんが仰っていた。

 

とはいえエリザベートはそこまで舞台機構がガサガサと動くことはなく、派手な転換はあまりない。

個人的にすきな転換シーンを上げてみようと思う。 

 

私だけに

エリザベートを語る上ではとても重要なナンバーが歌われているシーンではないだろうか。

王家に嫁いだエリザベートはで王宮での仕来りや束縛に耐えきれず、私は私だけのものだと歌うシーン。

 

まずこのナンバーの始まりはベッドの上から。

エリザベートが自殺をとどまり、短剣をおろしたところが曲を始めるきっかけとなっている。

 

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セットはエリザベートの私室。おおきな窓があり、ベッドとサイドチェストの上には燭台などがおかれ、少ないセットながらお貴族様の高価なものと窺える。

 

このベッドは前回ご紹介した2号ぜりの上に置かれており、盆が正面よりやや斜めに停止しているため、セットがはすに構えた感じに見えている。

さらにセリの横に階段が1つずつ下手側と正面についている。

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(これが通常の2号せり。3つともを同じ高さに固定しセットとして使っているよう)

 

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曲中カーテンのヒモを引く動作をきっかけに、閉まっていたカーテンが開いていく。

このカーテンは紗幕の様な手動のものだろう。

だいたい20秒ほどであくが、袖でスタッフさんがよいしょよいしょと開けているのかな。

 

このあとエリザベートが階段を降りたところで、ベッドがお役御免とせり下がる。

と同時に、結構なスピードで階段も横にはけていく。本当に速いので、よそ見していると気づかないくらいには速い(笑)

ちなみに階段は引っ張られている様子ではないのでラジコン操作かなとおもっているがどうだろうか。

 

その後窓だけのひらけた舞台になるが、スモークがもくもくとわいてきて空へ飛び出してきたかのような感じに。

 スモークにもいろいろ種類があるが、宝塚では前方の席に座っている人の話だとひんやりした煙がくるというのも聞くし、なんか甘い匂いがするとも聞くので、ドライアイスと液体系のどちらもあって、シーンによって使いわけているんじゃないかと思う。

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そうこうしていると今度は盆が回転し始めて、4号せりからそっと黄泉の帝王トートが登場する。

トートの登場とこの演出により、ここでエリザベートが生死をさまよって私室から天界に場面転換したのだな~とわかる。 

でも見て頂きたいのは、せり上がりながら盆が回転するところ!!!

うおぉぉ〜!まわってるまわってる!あがってるあがってる!どこでせりは止まるのか〜!盆はいつまでまわるのか〜!おっと失礼。取り乱した。

 

空気読んでるトートがそっと現れるのと、盆の回転に負けじとその場を歩いてるエリザベートはなかなかに健気。

盆はセリが上がりきっても回転し、4号せりが正面になるように停止。

エリザベートは力尽き意識を失い、このナンバーも終わるという流れ。

ここまでの4分の曲中に私が数えただけでも6回の転換があった。

多いと思うかは人それぞれだが、なかなかいい転換がみれるので個人的には好きだ。

 

 

この後しばらく興奮する転換は特にないが、ウィーンのカフェからはおすすめだ。

 

ウィーンのカフェ~ミルクまで

ウィーンの市民たちがカフェにて新聞の記事を読みエリザベートの噂をしている。

エリザベートはウェスト50センチ!」

「たまごとオレンジでダイエット!」

 などと歌い、とっても楽しいナンバーなのでみんな一度はマネしたはずだ。もちろん私もやった。

 

このシーンで使われているのが3号せり。どこにあるのかというとアーチの中の空間が3号せり。

片側に壁をつけることによってお部屋のようになるのが3号せりのすごいところ。

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(これが何も無い時の3号せり)

さらにこのシーン終わりに盆がくるっと1回転すると……

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エリザベートの書斎へ早変わりするのであーる!!この書斎は先程同様2号せりの上においてあり、上手側に扉と階段が取付けられている。

さらにさらに!このシーンが終わると盆がもう1回転し、またウィーンのカフェのセットに戻り、みなさんお待ちかねのミルクのナンバーに突入するというながれ!!!!クルッ!クルッ!と惜しげも無く盆を廻すなんて最高でしょう??

 

ここの転換もなかなかツボなのだが、やっぱり興奮するのは次にご紹介するシーンだ。

 

革命運動

オーストリア帝国に反対する、ハンガリーの革命軍が決起。皇太子ルドルフも口車にのせられ革命へと誘導されていく。セットはウィーンのカフェなのだが、なんと!!うえから!!ひとが!!おりてくる!!

この画像で3号せりの上に人がのっているのがおわかりいただけるだろうか。

初めは先程と同じウィーンのカフェだったのだが、途中でせりが収納。そうするとせりの上にスタンバイしていた黒天使たちが登場!!!!!

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これはたぎる!!!!!たぎりますね!!!!!

正しい3号せりの使い方を教えてくれてありがとうございます!!!という気持ち。

このように舞台機構の上手い使い方をほんとによくわかってらっしゃる…

専用劇場ならではの強味でしょうか。

しかしどうやって高い位置までいってスタンバイしているのかがすご気になる…

演技している人の上をそーっと登ってスタンバイするのはなかなかに萌える話だ。是非見せてほしい。金ならあるぞ!!

 

 

この作品ではさらに

マダムヴォルフのシーンで2号せりにかわいくフリフリをつけてテーブルにしていたり、他の公演ではなかなかお目に掛かれないリフトなんかも使用されているので、ぜひすみずみまでみてもらいたい。

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いかがだっただろうか。

宝塚の舞台機構と転換だけに注目して作品をみてもこれだけ楽しめる。

本物の公演はもーっと楽しいのでぜひ一度は観て頂きたい作品。

毎シーンごとに全然違う顔を見せる舞台機構。

今後もこつこつ紹介していく予定なのでお楽しみに。